エルダー2025年7月号
46/68

2025.7441はじめに今回は、がんの罹患者数の増加、5年生存率の向上、そして治療法の多様化といった現状について解説します。がんは発生部位や悪性度によって予後が大きく異なり、依然として厳しい予後を示すがん種もある一方で、「不治の病」から「つき合う病気」へと変化しつつあるがん種も増えています。本連載では就労支援の観点から、特に治療と就労の両立が可能ながん種を中心にご紹介します。高齢労働者におけるがん罹患率の高さをふまえ、がん治療の基本的な理解を深めていただければと思います。2高齢者のがんの罹患率高齢者の方が病気になりやすいことは、読者のみなさまもご承知の通りです。具体的な数字で確認しましょう。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響でがん検診の受診率が落男性50〜54歳60〜64歳70〜74歳1位大腸がん大腸がん肺がん2位肺がん肺がん大腸がん3位胃がん胃がん胃がん女性50〜54歳60〜64歳70〜74歳1位乳がん乳がん乳がん2位子宮がん大腸がん大腸がん3位大腸がん肺がん肺がん出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」をもとに筆者作成図表1 50代~70代のがん罹患数の順位がんと就労ー治療と仕事の 両立支援制度のポイントー二人に一人が罹患するといわれる病気「がん」。医療技術の進歩や治療方法の多様化により、がんに罹患したあとも働きながら治療を続けている人は増えています。その一方で、企業には、がんなどの病気に罹患した社員が、治療をしながら働き続けることのできる環境や制度を整えていくことが求められています。本企画では、特に「がん」に焦点をあて、その治療と仕事の両立支援に向け、企業が取り組むべきポイントを整理して解説します。産業医科大学 医学部 両立支援科学 准教授永なが田た 昌まさ子こ第1回がんの治療と就労の現状新連載

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る