エルダー2025年7月号
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エルダー45ちた影響もあると考えられていますが、この5年間は、年齢ごとのがんの罹患率に大きな変化は読み取れません。罹患率を50代前半と比較すると60代後半は、男性は約4倍、女性は約2倍です。高齢者に多いがんは、がん検診の対象となっていますので、高齢労働者のがん検診の受診の必要性も強調したいところです(図表1・2)。3生存率の向上罹患率の変化は目立ちませんが、がん治療の進歩は目覚ましいものがあるようです。がんの5年相対生存率は、1993(平成5)〜1996年登録の値(男性48・9%、女性59・0%)から2009〜2011年登録の値(男性62・0%、女性66・9%)に上昇しています。手術はより低侵襲に、薬物療法は細胞傷害薬に加えて、ホルモン療法や抗体療法、分子標的薬など副作用が少ないものが登場し、また副作用をマネジメントする方策も進化しています。特に分子標的治療薬の登場などにより、治療の発展が目覚ましい肺がんを取り上げると、肺がんのStage4と診断された方の生存期間の平均値は、確実に長くなっているようです。最近公表された論文によると、肺がん(非小細胞がん)Stage4と診断された時期が1995〜1出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」をもとに筆者作成出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」をもとに筆者作成図表2-1 がんの罹患率(男性)図表2-2 がんの罹患率(女性)0.0500.01000.01500.02000.02500.03000.03500.040〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳70〜74歳75〜79歳(人口10万対)2021年2020年2019年2018年2017年2016年0.0500.01000.01500.02000.02500.03000.03500.040〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳70〜74歳75〜79歳(人口10万対)2021年2020年2019年2018年2017年2016年

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