エルダー3賛同をいただいています。営利目的ではなく啓発活動が中心ですが、会員が集まったことで以前の手弁当から、講師に交通費や講演料も出せるようになりました。―健康経営研究会では、2021(令和3)年に「未来を築く、健康経営の深化」と題する政策提言を行い、2025年3月には、健康長寿産業連合会、健康経営会議実行委員会とともに「健康経営の進化―2040年の未来に向けて―」を発表されました。提言のねらいについて教えてください。岡田 2006年(健康経営研究会設立時)に提唱した健康経営の考え方を1・0、2021年の提言を2・0、今回の提言を3・0と位置づけています。1・0では経営者が健康管理を単なる福利厚生の一環とせず、経営戦略として推進することを提起し、2・0では従業員をコストではなく「資本」としてとらえ、経営者を含む組織全体が倫理観に基づき健康経営を実践することの必要性について提言を行いました。2・0で「深化」という言葉を使ったのは、健康経営を深めることによって組織を活性化することがねらいでした。 健康経営3・0の核心は、「人的資本の変革」を通じた「高齢化の進化」への新しいアプローチです。少子高齢化がきわめて大きな課題となるなか、2025年に団塊世代すべてが後期高齢者となり、2040年には団塊ジュニア世代が65歳に入ります。この間にしっかりと対策を打たなければ健康な働き手がいなくなるという問題意識があります。「人生100年時代」といわれ、100歳の長寿の人が増えることは日本人にとって幸せなのか不幸なのか。現役時代に一生懸命働き老後資金を貯めた人、また、定年後も元気に働いて給与をもらえる人は長寿でも幸せでしょうし、そうでない人にとっては不幸かもしれません。老後のケアも含めて退職後も豊かなセカンドライフが送れるようにしていくことが、企業の社会的ミッションとして求められる時代になります。れるなど、なかなか浸透しませんでした。潮目が変わったのは政府が“国策”として推進の旗を掲げたことです。2014年の安倍晋三内閣で閣議決定された「『日本再興戦略改定2014』ー未来への挑戦」で「健康経営」の推進が掲げられ、経営者に対するインセンティブとして「健康経営銘柄」の設定を打ち出しました。さらに2016年度からは「健康経営優良法人認定制度」も始まりました。私たちの活動にも関心が高まり、NPOの会員も現在では100法人を超え、多くの方に経営的視点でとらえる1・0、深化を図る2・0を経て健康経営は「高齢化の進化」をうながす3・0へ
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