エルダー2025年7月号
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 “学び直し”を効果的に行う方法を、ミドル・シニアの方々に伝授する本連載。2回目は「大 “学び直し”を効果的に行う方法を、ミドル・シニアの方々に伝授する本連載。2回目は「大人脳」ならではの記憶力にスポットをあてていきます。1万人の脳を診断した脳内科医・医人脳」ならではの記憶力にスポットをあてていきます。1万人の脳を診断した脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生に、50・60代の脳の扱い方、記憶力や理解力がアップする勉強法、学博士の加藤俊徳先生に、50・60代の脳の扱い方、記憶力や理解力がアップする勉強法、学びの効果を高めるポイントなどについてお話しいただきました。学びの効果を高めるポイントなどについてお話しいただきました。50・60代の記憶力の使い方株式会社脳の学校 代表/加藤プラチナクリニック 院長 加か藤とう俊とし徳のり第2回2025.752加齢で記憶力の仕組みが変わる加齢で記憶力の仕組みが変わる50・60代になって、「記憶力が落ちてきた」、「物覚えが悪くなった」と感じている人もいると思いますが、年を重ねるだけでは記憶力が衰えることはありません。変わったのは記憶力そのものではなく、記憶するための脳の仕組みです。10代の「学生脳」では、聞いたものをそのまま吸収する「無意味記憶」が中心で、勉強も暗記が主体になります。一方で50・60代の「大人脳」の場合、「意味記憶」が優勢になり、意味を理解して初めて記憶するように脳の仕組みが変わっているのです。そのため、学生時代と同じ方法で暗記するのはむずかしくなっています。何かを記憶したいときは、「覚えよう」と思うより「理解しよう」と頭を働かせるのが正解です。記憶力の質の変化に気づき、大人脳の仕組みに合った勉強法に切り替えていくことができれば、勉強の効率も上がり、学生時代より記憶力を高めることも可能です。海馬に「重要だ!」と思わせる海馬に「重要だ!」と思わせる脳には膨大な記憶容量があるといわれていますが、耳や目から入ってきた情報をすべて記憶として貯めこんでいたら、すぐに容量オーバーになってしまいます。そのため脳は、入ってきた情報のうち、重要と判断したもの以外をどんどん消去し、忘れていきます。私たちが耳や目から集めた情報はまず、脳の中の聴覚系や視覚系などに伝えられます。記憶をつかさどる「海かい馬ば」がそのとき、同時に働くか否かで、短期記憶のなかから「消去する情報」と「残す情報」を選別する役割もになっています。記憶は大きく「短期記憶」と「長期記憶」に分けられます。海馬が担当するのは短期記憶。海馬が、情報の入力と同時に働いて、海馬が「残す」と判断した情報が、長期記憶になっていきます。すなわち見聞きした情報を、海馬にしっかり「重要だ!」と思わせ、長期記憶に送り込むことができれば、記憶力は上がるということです。この仕組みを利用することが、50・60代の暗記法のカギになります。「覚える」より「理解しよう」「覚える」より「理解しよう」海馬に「重要だ」と思わせるためには、海馬に強く長く活動してもらう必要があります。そ

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