エルダー57榧かや野の 潤じゅん 著、西にし垣がき英はな恵え 著/独立行政法人労働政策研究・研修機構/3850円篠しの原はら菊きく紀のり 監修/ナツメ社/1430円坪つぼ井い貴たか司し 著、寺てら田だ 新しん 著/東京大学出版会/2750円生涯現役を実現するには、元気に動ける体づくりが大切だ。そう思い健康情報を集めてみると、なかには「これって本当?」、「売るために誇張している?」と疑問を抱くものも……。本書は、世の中に広く流布している「よく聞く健康知識」を取り上げて、科学的な根拠や理論を紹介しながら、その真偽をわかりやすく解説していく。著者の2人は東京大学大学院教授で、それぞれ生命科学、スポーツ栄養学を専門としている。本書では「食と栄養」、「運動と体」に関する情報を取り上げて、「糖質制限食って優れたダイエット法なの?」、「有酸素性運動で脂肪を使わないと痩せないの?」など20の疑問について詳解している。また本書は、さまざまなメディアから発信される情報をうのみにせず、自分の頭で考えて判断できるよう一般の人たちの科学リテラシーを高めることにも役立つ内容にしたい、という著者の思いも込められてまとめられた。ところどころむずかしい内容もあるが、わかりやすい文章で書かれている。気にせずに読み進めていけば、読み通したころにはよりよく生きるための科学リテラシーが身についている、そんなことも期待できる良書だ。高齢化が進む日本では、認知症になる人が増えていくことが予想されている。一方で、生活習慣などの改善によって、その発症リスクを抑えられることが最近わかってきた。本書は、そうした報告や世界保健機関(WHO)が推奨する認知症予防のための生活習慣を前提として、老化をくい止め、病気予防にもつなげていく「9つの習慣」を説いている。9つの習慣は、「脳トレ」、「運動」、「睡眠」、「食事」、「余暇活動」、「全身の健康管理」、「人との交流」、「ストレスのコントロール」、「脳にいい言葉」。それぞれについて、効果的な習慣や効果の根拠となるデータなどをオールカラーの紙面で簡潔に説明し、日常生活で実践しやすい運動や食習慣、脳にいい言葉を口にする習慣づくりなどを紹介。例えば、複数の作業を並行して進める家事は、最高の脳トレになるという。ただ、慣れたことをするときに脳は活性化しないため、いつもと「順番を変える」、「スピードを上げる」などの工夫を加えるとよいそうだ。本書の監修は、本誌(64ページ)で「脳力アップトレーニング!」を連載している篠原菊紀氏が務めている。それだけに脳の老化予防に関心がある人には、一読の価値があるだろう。本書は、労働市場の構造的問題に注目し、1930年代にはじまった失業の心理学研究の蓄積と、著者が積み重ねてきた実証的研究成果をもとに、失業者の心理と求職行動を科学的に分析。それらをふまえ、効果的な支援を実現するための新しい研究アプローチを提示するとともに、「心理的・社会的困難への支援」など再就職支援の実務に資する16の提言を行っている。著者の榧野氏は、(独)労働政策研究・研修機構の労働大学校でハローワーク(公共職業安定所)職員向けの研修を担当し、研修を通じてハローワーク職員が直面する課題や、年齢、スキル不足、育児や介護の責任、病気などさまざまな困難を抱える失業者の事例に触れた。同時に、職員の親身な支えと本人の努力によって再就職を果たした人々の感動的な事例を学び、困難な状況に直面した人が、「再就職」という新たな希望を見出していく過程の心理を理解し、効果的な再就職支援の方法を研究している。16の提言は、再就職支援にたずさわる人々や、失業問題に取り組む研究者、政策立案者に向けたものだが、労働者が望む労働や職場環境、良好な雇用関係の構築を目ざす事業主にとっても、新たな示唆を得る手がかりとなるだろう。よく聞く健康知識、どうなってるの?脳が喜ぶ9つの習慣老化を予防し若返る!研究双書 失業の心理学―失業から再就職への橋渡し―健康情報の真偽を解説。科学リテラシーを高めたい人にもおすすめいますぐできる9つの習慣で、脳が喜び認知症を予防!失業者の心理と求職行動の分析をふまえた、再就職支援のための16の提言
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