エルダー2025年8月号
21/68

エルダー19特集高齢者雇用と賃金の基礎知識図表1 職務記述書の項目例図表2 賃金の要素賃金から見ると…川上から川下へのシフト年功給(年齢給・勤続給)〈属人的要因〉年齢や勤続が高く、長くなったことに対して支払う能力が高くなったことに対して支払う担当する仕事の価値に対して支払う期間ごとの成果に対して支払う〈仕事をする人〉〈仕事の過程〉〈仕事の結果〉職能給職務給・役割給業績給※ 筆者作成※ 筆者作成項目内容職務営業部長、製造課長、経理係長、技術主任など所属部署部門名・部署名(営業部、経理課、開発部など)職位・等級組織上の職位、職務等級、グループリーダークラスなど職務の役割使命職務の目的や意義主な職務内容職務の中心業務について、重要度や頻度など副次および補助業務必要なサポート業務など権限と職責の範囲意思決定や予算・人事管理などの範囲と基準上司および部下上司の役職位、部下の人数や構成など社内外の関係者との連携関係部署・顧客・仕入先など業績指標担当職務の成果を測定するにあたっての基準職務で求められる知識・技能・資格・経験など業務遂行に必要な学歴・知識・公的資格・業務経験など職務上の行動特性職務上求められる能力、特性(問題解決力、対人折衝力など)労働条件の特記事項勤務地、勤務時間、時間外、休日、出張(国内外)、危険業務の有無など更新履歴・作成日・作成者作成、更新日、作成の部署・責任者などを策定することが求められます。特徴としては以下の通りです。・業務責任を明確にし、従業員の役割意識を向上させることが期待できる。・賃金決定の基準の明確化のもとに公開されるものであり、従業員にとって公平性、納得性が期待できる。・職務に沿った人材の配置や採用を可能にさせる。一方で注意すべき点もあります。・これまでの日本の人事制度で重視されてきた「計画的異動配置(ジョブローテーション)」や、長期間をかけての「多能化」にはそぐわないところがある。・職務記述書の定期的な見直しが求められ、運用がむずかしく煩雑になる。■職務記述書の策定先述のように、職務等級制度では職務記述書の策定が前提となります。具体的には、職務ごとに、その成果は何か、具体的にどのような業務を行っていくのか、さらに必要なスキルや資格要件などを明確にしていくものです(図表1)。(3)役割等級制度近年日本企業で広まってきている制度です。職務内容そのものというよりも「になっている役割の大きさと期待度」に応じて該当する等級を定めるものであり、職務等級制度と比較してあいまいな余地は残るものの、変化の激しい現場に柔軟に対応できるのがメリットであるともいえます。職能資格制度と理念に陥りがちな職務等級制度との中間に位置し、日本の多くの企業でなじみやすい制度といえます。3「職能給」、「職務給」、「役割給」、「職能給」、「職務給」、「役割給」、「業績給」の違いとは「業績給」の違いとはでは等級制度に関連づけられる賃金をどうとらえるのか、要素ごとに見てみましょう。図表2を見てわかるように、能力の高さ、および伸びた長さ(伸長度)を反映した「職能給」、担当する仕事の大きさ・職責など職務価値を反映した「職務給・役割給」、個々の責任に応じて反映される「業績給」(いわゆる成果給としての考え方)とに分けてとらえることができます。等級に連動する賃金制度も三つのタイプに分かれます。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る