エルダー2025年8月号
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解説1これからの人事評価制度これからの人事評価制度日本の企業における評価制度は、長年にわたり年功序列型の集団管理的な人事制度を基盤においたものでした。しかしながら、ここにきて「働き方の多様化」にも対応した職務基準に則った客観性と組織貢献度を重視する評価への移行が進みつつあるといえます。また、高齢者の積極的な雇用を進めていくにあたり、トータル人事制度のなかでも評価制度がこれまで以上に重要になってきています。あわせてこれからの評価は、人材の定着化を推し進め、個々の従業員にとっては自らの成長が実感できる評価が求められてきているともいえます。2評価制度の設計評価制度の設計(1)設計の基本評価制度の設計にあたっては、経営の見える化のもとに、人材ビジョンを明確にすることから始める必要があります。次に評価の枠組みを、例えば成績と職務行動および能力の切り口から区分したうえで設計します。成績は担当職務からみて期待される成果そのものをとらえるものです。これに対して職務行動はプロセスの評価であり、成果に至るまでの途中の経過を、期待される人材からの行動特性などから追ってとらえます。また、成績と職務行動は一定の評価期間からとらえるのに対し、能力はその時点での能力の開発レベルを評価するもの、すなわち定点観代表的な評価制度代表的な評価制度株式会社パーソネル・ブレイン 代表取締役 社会保険労務士 二宮 孝42025.822測といってよいでしょう。(2)評価要素の構成評価制度でいう評価要素については、以下に分かれます。 ①成績・業績“成績”は、評価期間中の担当職務の遂行度を評価するものです。シンプルにみれば、量的な見地×質的な見地でとらえるという方法が考えられます。また、成績のなかでも直接成果として付加価値の大きさまでとらえたのが“業績”となります。なお、管理職など上位職については、成績のウエイトを高く設定しています。 ②職務行動-業務プロセス成績を補足的にとらえる項目で、業務の進展の度合いをみるものですが、職掌(渉外営業や技術開発など、職種を大おお括ぐくりにした人事

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