エルダー23特集高齢者雇用と賃金の基礎知識管理上の区分)ごとに整理したうえで具体的にとらえます。 ③職務行動-勤務態度(姿勢)文字通り、仕事に取り組む態度、姿勢を評価するものです。日常的な職務行動を観察したうえで評価を行います。例えば、組織内であらかじめ定められたルールを守ったかどうかの「規律性」がありますが、昨今では「コンプライアンス」の観点から重視されるなど、職務の変化とあわせてその時代に何が求められているかによっても変化してきています。ほかにも、リスキリングが重視される時代において、マンネリに陥らずつねに高い目標課題に取り組む「向上心(改善意欲)」や、これまで経験した業務の習熟のみに限定されることなく、自らスキルアップに励む「自己啓発意欲」などが注目されています。また、高齢社員に対しては、唯我独尊に陥らず、組織運営が円滑に行われるための「チームワーク」がいっそう期待されてきています。(3)能力ほかの評価要素が比較的短期でとらえるのに対して、中長期的な広い視野に立って、本質的な実力がどの程度のレベルかを測るのが能力評価です。管理職や専門職などの上位職については、適性をとらえ、昇格・昇進への活用を中心に運用されています。一方で、社会人経験が浅い従業員については、能力開発と動機づけの面から実施されています。いずれにしても、職掌・等級別の期待基準からの絶対評価が求められるところです。3業績評価と目標管理業績評価と目標管理“目標管理”(management by objective;MBO)は、P・F・ドラッカーが著書『現代の経営』のなかで提唱したのが始まりといわれています。従業員が自己の担当する職務について具体的な目標を設定し、その成果を評価するもので、従業員の自己評価が重要とされ、達成に向けて動機づけを図る制度とされています。目標管理における“目標”とは、従業員自らも目標設定の段階から参画し、理解し納得したうえで設定した科学的な手法で導かれた目標値でなくてはなりません。一方で、従来の目標管理は、「数値目標中心」、「一方的な上意下達」、「評価のためだけの制度」に陥りがちになってきていることも否めないところがあります。これらのことをふまえ、これからの目標管理制度は、次の観点からの見直しが求められています。 ①組織貢献度について注目すること個々の業務目標は、部門や全社の方針と整合し、相互に補完するものでなければなりません。 ②定性的成果も採り入れること単に数値目標に終始するだけではなく、より広く定性的な成果としてもとらえます。 ③コミュニケーションを重視すること面接制度のもと、期末時点の評価だけでなく、目標設定面接→中間進捗状況面接→達成度評価面接などの段階を設け、上司や部下との対話をより重視していく必要があります。なお、特に高齢社員に対しては、個々の業績に留まることなく、メンター的役割や若手の支援、育成など、チーム貢献を重視した目標設定が望まれているといえます(24ページ図表1、図表2)。4職務行動評価とコンピテンシー職務行動評価とコンピテンシー(1)職務行動評価職務行動評価のための基準策定にあたっては、「コンピテンシー(行動特性)」が中心になってきました。これはアメリカにおける行動心理学から発生したもので、成果に導くための「行動」そのものに焦点をあてた評価手法です。す
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