図表1 在職老齢年金の年金支給停止の仕組み超過額の1/2停止支給停止対象外51万円*老齢厚生年金が支給(一部支給)される場合、加給年金 額は全額支給されるが、全額支給停止される場合、全額 支給停止となる。年金支給停止額総報酬月額相当額老齢厚生年金(基本月額)老齢基礎年金加給年金(*)対象となる賃金・年金の範囲※ 筆者作成解説1はじめにはじめに60歳以上の高齢社員の継続雇用を考えた場合、まず思い浮かぶのが公的給付としての「在職老齢年金」と「高年齢雇用継続給付」制度です。この二つの制度は受ける賃金額や制度間での支給調整が行われます。本稿では二つの制度についての仕組み、受給のための手続きなどについて解説します。2在職老齢年金在職老齢年金在職老齢年金は、勤務先で厚生年金保険に加入しながら(在職中)、老齢厚生(退職共済)年金を受給している方について、賃金(報酬)と年金の合計額が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止される制度です。●賃金と年金額で調整される(図表1)賃金と年金額の合計額が51万円(2025〈令和7〉年度)を超えると、超えた額の2分の1の年金が支給停止されます。51万円以下であれば年金は全額支給されます。ここでいう賃金とは、毎月の賃金(標準報酬月額)に、その月以前1年間に受けた賞与(標準賞与額)を12で割った額を足した額で、「総報酬月額相当額」といいます。また、年金額とは、老齢厚生年金(年額)を12で割った額(加給年金は除く)で、「基本月額」といいます。年金支給停止額を計算式にすると「(総報酬月額相当額+基本月額-51万円)×2分の1」になります。例えば、「総報酬月額相当額」が45万円、「基本月額」が8万円であれば、1カ月あたり1万円の年金が支給停止になります※。※ ここで取り上げている調整額は2025年度のものです。法改正により、2026年4月よりこの調整額は引き上げられる予定です在職老齢年金・高年齢雇用継続給付と在職老齢年金・高年齢雇用継続給付と賃金の調整賃金の調整社会保険労務士法人かわごえ事務所 代表社員 川かわ越ごえ雄ゆう一いち52025.826●在職老齢年金額の変更在職老齢年金における支給停止額は「総報酬月額相当額」と「基本月額」により決まりますから、これら二つが変わると支給停止額が変更になります。「総報酬月額相当額」のうち、毎月の賃金をもとにした標準報酬月額は毎年4・5・6月に受けた
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