エルダー27特集高齢者雇用と賃金の基礎知識図表2 高年齢雇用継続給付金の基本的な支給イメージ60歳65歳60歳到達時等の賃金月額60歳以降に支払われる賃金75%未満に低下給付金=賃金低下率に応じた支給率を掛けた額賃金額の平均、および昇給などがあった月以降3カ月間に受けた賃金額の平均により改定されます。また、65歳以後も在職中の場合、年に一度9月1日を基準日として、直近1年間の被保険者期間を反映して年金額が再計算され、毎年10月分から改定されます。これを「在職定時改定」といいます。なお、在職中に70歳に達して厚生年金保険に加入しなくなった場合は、9月1日を待たずに年金額が改定されます。●在職老齢年金の対象者老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入している人が対象です。老齢厚生年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられており、男性は1961(昭和36)年4月2日以降、女性は1966年4月2日以降に生まれた人は原則として65歳からの支給になります。そのため、今後は原則として65歳以上の人が対象になります。また、2007年4月1日以降は、厚生年金保険の加入要件を満たしながら働く70歳以上の人も、年金には加入しませんが、在職老齢年金の仕組みが適用になっています。3高年齢雇用継続給付高年齢雇用継続給付高年齢雇用継続給付は、賃金が60歳到達時等に比べて一定以上低下した雇用保険被保険者に対して支給される給付金です。自社で定年後に再雇用された人向けが「高年齢雇用継続基本給付金」、失業給付等を受給後に再就職した人向けが「高年齢再就職給付金」です。●制度の仕組み(図表2)高年齢雇用継続給付は、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に対して支払われる賃金額が、60歳到達時等の75%未満となった場合に支給されます。支給額は、60歳以降に受けた賃金額の最高10%に相当する額です。ただし、2025年3月31日までに高年齢雇用継続給付の受給資格要件を満たす人の支給率は最高15%です。60歳到達時等の賃金月額とは、原則として、60歳に到達する前6カ月間の総支給額(賞与は除く) を180で割った賃金日額の30日分の額です。ただし、上限額、下限額があります。60歳以降の賃金とは、支給対象月に支払われた賃金(賞与を除く)です。支給対象月は、原則として60歳から65歳までの期間内にある各暦月(初日から末日まで被保険者であることが必要)です。●受給対象と受給手続き受給対象は次の要件をすべて満たす場合です。①60歳以上65歳未満の一般被保険者であること、②被保険者であった期間が5年以上あること、③原則として60歳到達時等と比較して、60歳以降の賃金が60歳到達時等の75%未満となっていること、です。高年齢再就職給付金については、加えて、再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あることなどです。受給手続きは、原則として事業主が2カ月に一度、管轄のハローワークから指定された月に支給申請書を提出します。●在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の調整65歳未満で在職老齢年金の支給を受けながら、同時に高年齢雇用継続給付の支給を受けている期間については、高年齢雇用継続給付の給付額に応じ年金の一部が支給停止される場合があります。停止率は、「標準報酬月額÷60歳到達時等の賃金月額」の低下率が64%以下の場合に標準報酬月額の最高4%(2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の受給資格要件を満たす人は6%)です。そして、低下率が大きくなるにつれ停止率は徐々に少なくなり、75%以上になると支給停止はなくなります。※ 筆者作成
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