エルダー2025年8月号
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解説1はじめにはじめに退職金制度は高齢者等の退職者を対象にしますが、若年者にとってもいずれは訪れることであり他人事ではありません。ですから、退職金制度を整備しておくことは、若年者にも安心感を与え、そのことが定着率を高めることにもつながります。本稿では、高齢者雇用を見すえた退職金制度見直しのポイント、退職金制度の種類と用語などについて解説します。2退職金制度見直しの考え方退職金制度見直しの考え方退職金制度は法律上の義務ではありませんが多くの企業で導入されています。おもに退職一時金と退職年金ですが、一般には前者が多いと思います。●退職金(退職給付)制度の現状厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度のある企業割合は74・9%となっています。企業規模別にみると、「1000人以上」が90・1%、「300~999人」が88・8%、「100~299人」が84・7%、「30~99人」が70・1%となっています。また、退職給付制度がある企業について、制度の形態別の企業割合をみると「退職一時金制度のみ」が69・0%、「退職年金制度のみ」が9・6%、「両制度併用」が21・4%となっています。●70歳まで働く時代の退職金制度多くの企業の退職金規程は60歳定年を想定したものになっているのではないでしょうか。し退職金の基礎知識退職金の基礎知識社会保険労務士法人かわごえ事務所 代表社員 川越雄一62025.828かし、いまは高年齢者雇用安定法において65歳までの雇用機会の確保(義務)、70歳までの就業機会の確保(努力義務)が課されていることもあり65歳くらいまでは普通に働いている時代です。人手のない中小企業では70歳超のバリバリ働く従業員もめずらしくありません。そのような人たちに、「やればやっただけのことはある」と感じていただく工夫も必要です。●高齢者雇用を見すえた退職金制度見直し退職金制度は定年年齢と連動させておくことが重要です。定年年齢は引き上げられているのに、退職金制度では引き上げられた期間の部分が曖昧だったりするとトラブルになりかねません。定年年齢は従来のままでも、いまのように70歳までなんらかの形で継続雇用となる時代はなおさらです。具体的には、退職金支給は定年時なのか、そ

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