エルダー2025年8月号
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エルダー29特集高齢者雇用と賃金の基礎知識図表 おもな企業年金制度※ 筆者作成3階部分企業年金(私的年金)等タイプ確定給付型確定拠出型仕組み受け取る給付額が確定拠出額(掛金)が確定年金の種類確定給付企業年金(DB)確定拠出年金(DC)中小企業退職金共済規約型基金型企業型個人型(iDeCo)加入対象会社のルール(厚生年金の被保険者)基金のルール(厚生年金の被保険者)70歳未満の厚生年金保険被保険者70歳未満の国民年金被保険者原則として全従業員(公的年金の加入要件なし)掛金負担会社のルール基金のルール原則事業主加入者本人事業主給付金の受け取り原則60歳以降原則60歳以降原則60歳以降原則60歳以降年齢関係なし2階部分公的年金厚生年金保険1階部分国民年金(基礎年金)れとも継続雇用を経て実際の退職時なのか、定年後の継続雇用期間は退職金に反映させるか、というようなことが明確でない場合は見直しが必要になります。仮に、見直し前より条件が悪化する場合は、見直し時点での既得権保証、経過措置期間などを設け、基本的には各人ごとに同意を得て行います。3退職金制度の種類、退職金制度の種類、制度間の違い、活用の仕方制度間の違い、活用の仕方退職金制度は、支給の仕組みに加え、その支給原資・形態をどうするかが重要です。確定給付や確定拠出など、ニュースではよく見聞きしますが、実際にはどういうものなのか、それぞれの違いなどを簡単に解説します。●退職一時金と企業年金の違い退職一時金とは、従業員が退職する際に一時金の形で支給される一般的な退職金制度です。多くの場合は勤続年数ごとに基本給等の何倍というように支給率を定めたり、金額そのものを定める方式があります。一方、企業年金(3階部分)とは、企業が従業員の退職後の生活のために設ける年金制度のことをいいます。公的年金制度である国民年金(1階部分)・厚生年金保険(2階部分)に上乗せして実施します(図表)。●企業年金等はおもに3種類法律で定められている企業年金等には、おもに①確定給付企業年金、②確定拠出年金、③中小企業退職金共済があります。また、確定給付企業年金の一種として厚生年金基金がありますが、2014(平成26)年4月以後、基金の新設は行われませんからここでは解説を省略します。①確定給付企業年金(DB)は、厚生労働省が管轄する企業年金制度で、あらかじめ受け取る給付額が約束されているということから、確定給付と呼ばれています。なお、実施形態から大きくは「規約型」と「基金型」の二つがあります。②確定拠出年金(DC)は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。事業主が掛金を拠出する「企業型」と、個人で加入し掛金を拠出する「個人型(iDeCo)」の二つがあります。③中小企業退職金共済(中退共)は、中小企業のために設けられた退職金制度(給付は原則一時金)です。厚生労働省が所管する「独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部」が運営を行っています。●中小企業退職金共済制度の活用中小企業退職金共済制度は、いわゆる確定拠出型の退職金制度です。企業型確定拠出年金制度に比べて管理が簡単、国が掛金の一部を助成、ほかの企業年金と違い給付に年齢制限がないなどメリットも多く、中小企業の退職金制度として導入率も高くなっています。反面、企業が導入をためらう理由として、退職金が従業員に直接支払われる、掛金納付が11カ月以下だと退職金が支給されず掛金も返へん戻れいされない、掛金減額のハードルが高い、といった制約もあります。しかし、このような制約があればこそ、公正な退職金制度が維持できるのだと思いますし、そのようなことが従業員の会社に対する信頼を高めることになります。

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