エルダー2025年8月号
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エルダー41川かわ原はら一かず男おさん(70歳)は、森下さんの紹介で68歳のときに入社し、いまも週5日フルタイムで勤務する現役ドライバーです。20年以上無事故を続け、以前の職場では表彰も受けました。にこやかで明るい笑顔が印象的な川原さんですが、その安全運転へのこだわりは徹底しており、「いま事故を起こさないことが、1秒先、2秒先の安全にもつながります」と強い信念を持って話します。「20代のころに経験した大きな事故が、この強い安全運転への意識につながっています。あのとき事故を経験しなかったら、いまの自分はありません」と過去と現在をかみしめるようにして語りました。現在、小学校低学年のスクールバスを担当し、車内で動き回る子どもたちへの注意を怠らず、「運転手兼子守り」のような役割も果たしています。「会社に必要とされ、活かしてもらえることがやりがいです」と笑顔で締めくくりました。同社の女性ドライバーの一人、粟あわ村むら英え美みさんは、「健康とやる気があれば年齢に関係なく働き続けられる会社だと、みなさんを見ていて実感しています。同じようにこの先長く働きたいので、最近は健康に気を使うようになりました」と話し、3人の働く姿に刺激を受けて将来に向けた取組みを行っているそうです。よい現状を守り、次につなげる今後の方針について、的場支配人は「現状を維持し、従業員の雇用を守って、“地域の足”としての役割をになっていくことを最重要課題として考えています。市との連携を密にし、地域からの要望に応えつつ、無理なく持続可能なサービスを提供していく方針です」と、いまのよい流れと社内外の関係性に誇りをにじませていました。西川プランナーは、「ののいちバスには大きな課題もなく、理想的な経営状況です。特に社員と経営陣の強い信頼関係が印象的でした。ベテラン社員は他社でつちかった経験を活かし、会社愛を持って働いています。各々が経験を共有し、会社をよくしようとする意識が感じられました」と評価。今後は、同じ業務をこなせる高齢社員を複数配置することで、急な欠勤にも対応できる“弾力性”を高めることが危機管理強化にもつながると提案していました。同社では「健康であるかぎり、働き続けることができる」という考えと風土が定着しています。高齢社員が安心して活躍できる風土が、ののいちバスの持続力と地域貢献を支えています。(取材・西村玲)左から柿﨑勝義さん、粟村英美さん、森下幸二さん、川原一男さん

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