エルダー47要な情報は、配慮の根拠となる症状や治療の内容の情報であり、必ずしも病名は必要ありません。これらの情報の取扱いも、健康診断の情報などの取扱いと含めてルール化しておくことが必要です。(3)休暇制度や勤務制度休暇制度や勤務制度において、どのような場合に利用するのか、もしくは両立しやすくなるのかを考えていただくために、図表4のような利用想定を示します。一つの制度で、働きにくい障壁のすべてを解決することはないと考えられますので、複数の制度をつくっていただくと、両立しやすくなります。また制度があっても利用しにくい場合もあるようです。利用しやすい環境かどうか、すべての職場で利用しやすいことが理想的です。第1回でご紹介したように、がん治療をしながら働く人の支援は、治療法も多様であり、症状の個人差も大きいため、個別対応が必要です。次回は、具体的に事例が発生した場合に、どのように対応するとよいのかをご紹介します。出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」※筆者作成図表3 事業場における治療と仕事の両立支援ガイドライン図表4 両立支援制度の具体例制度利用想定(具体例)時間単位の年次有給休暇短時間の通院等があっても、年次有給休暇を無駄なく利用できる。治療だけでなく、検査の受検や検査の結果の説明など、医療機関に通院する頻度が増える場合あり傷病休暇・病気休暇制度通院や抗がん剤の副作用等があるなど症状の変動に合わせて、休業することが可能となり、症状が落ち着いている状態であれば就労できる短時間勤務制度(復職直後など)徐々に仕事の負荷を上げていくことができる放射線治療など、毎日通院治療が続いても、就労が可能となる場合がある時差出勤制度満員電車等、通勤の負担を減らすことができる。通勤の負担として、薬物療法等による下痢等の副作用や時間的、身体的負担も軽減される在宅勤務制度通勤の負担なく、就労することができる感染症に罹患しやすいことを懸念している場合、安心して就労可能である「4.両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)」1) 事業者による基本方針等の表明と労働者への周知2) 研修等による両立支援に関する意識啓発3) 相談窓口等の明確化4) 両立支援に関する制度・体制等の整備 (ア)休暇制度、勤務制度の準備 (イ)労働者から支援を求める申出があった場合の対応手順、関係者の役割の整理 (ウ)関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり (エ)両立支援に関する制度や体制の実効性の確保 (オ)労使等の協力
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