エルダー2025年8月号
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はならないとされています(いわゆる「均衡待遇」の規定)。他方で、「職務内容が通常の労働者と同一の場合」については、同法第9条が「雇用関係が終了するまでの全期間」において、①職務の内容および配置、②職務および配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれる者については、「短時間・有期雇用労働者であること」を理由として、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」について、差別的取扱いをしてはならないとされています(いわゆる「均等待遇」の規定)(図表)。基本的には、業務の内容と責任の程度、それらの変更範囲に相違があるかぎりは、これらの要素およびその他の事情をふまえて、不同一労働同一賃金について1同一労働同一賃金については、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の第8条が定めています。比較されるのは、期間の定めがない労働者と期間の定めがある労働者の間で「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」を対象としており、退職金も待遇の一種として対象に入ります。そして、①業務の内容および責任の程度(以下、「職務の内容」)、②職務および配置の変更の範囲、③その他の事情(待遇の性質や目的に照らして適切と認められるもの)を考慮して、「不合理と認められる相違」を設けて業務の内容と責任の程度、それらの変更範囲その他の事情をふまえて合理的な範囲であれば、差異が生じていることは許容され得ますが、退職金規程の定め方によっては、支給を認めなければならない場合もあります。A長期間働いている有期雇用労働者には、正社員と同じように退職金を支払わないといけないのでしょうか当社では、退職金について、一時金と退職年金の2種を用意しています。いずれも正社員を対象とした制度として想定しています。ところが、当社で長期間継続雇用している契約社員から、同一労働同一賃金の観点から退職金の支給を認めるよう要求されています。これに応じなければならないのでしょうか。Q1第86回 長期にわたる有期雇用労働者と退職金支給、録音禁止の業務命令の有効性 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲/弁護士 髙木勝瑛2025.848知っておきたい労働法A&Q

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