エルダー2025年8月号
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エルダー53位行動に関するガイドライン」にも、座りすぎは不健康になると記載されています。座りすぎによって、やる気は失せるのです。同ガイドラインには、「身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、すべての人が健康効果を得られる」と明記されています。動けば動くほど、学習能力や思考力が高まります。“立って動く”ということは、その都度、脳の動きをチェンジさせることにつながり、運動は脳全体を活性化させるトリガーになります。なお、週1回のジム通いなどだけだと、なかなか運動不足は解消できません。日ごろから小まめに立ち上がり歩くなどして活動量を増やすようにしましょう。日々の生活で、座っている時間を減らすほうが効果的です。座りっぱなしでいると、お尻や太ももなどの大きな筋肉の動きが減って血液循環も悪くなるので、机に向かってまさに学習中であっても、20分に1回は立ち上がるなどの工夫をしましょう。「生きる価値」、「生きる価値」、「持続可能な目標」を持つ「持続可能な目標」を持つ脳も栄養不足になれば、やる気がなくなります。脳にとっての栄養不足とは、睡眠不足に運動不足、そして「好奇心の不足」です。好奇心が不足すると、慢性的な「マンネリ脳」になり、やる気が落ちるのですが、そこに多くの人たちが気づいていません。好奇心に関連していえば、50・60代だからこそできることの一つが、「いろいろな見方を楽しむこと」でしょう。私は、若い人たちの意見や行動を、おもしろいと思って見ています。自分の世代ではない人たちを観察するのはとても楽しいことです。そしてまた、いろいろな見方を受け入れることで、自分の見方や考え方を客観化することも重要だと思います。もう一つ、やる気を持続する方法として実践しているのが、「生きる価値」について絶えず自分にいい聞かせることです。私の場合は、自分を大切にしてくれた祖父母のことを考えます。彼らが生きた証をいまの世に示せるのは自分だけだと思うと、とてもやる気が出るのです。人には、最低限どんな状態になっても、失われない気力が必要で、それが生きる価値だと考えています。そしてさらに、生きていくうえで、持続可能な目標を持つことも大切です。人間の細胞は老化しますが、目標は老いません。老いないものを持つことが、やる気の維持にもつながっていくのです。(取材・文 沼野容子)続的に生活パターンを変えていくことです。一番よいのは、夜型を朝型に変えることです。夜30分早く寝て、朝の30分を増やす、あるいは夜30分早く寝て、朝起きる時間を変えなければ睡眠時間を30分増やすことができます。やる気というのは、意識覚醒に非常に関係しています。だから朝起きて、できれば午前9時ぐらいまでに、やる気が出るような生活がよいのです。私の場合は、毎日8時間半以上寝て、太陽の光を浴びるためにも朝1時間ぐらい散歩してから、仕事をします。そこに朝の体操を取り入れ、体の動かし方も自分で考えます。日々前向きに過ごすことも大切です。だれかに褒められることを期待するのではなく、自分で自分を褒めてみたり、または美味しいものを食べたりして、自分へのご褒美が、やる気を上げます。「何をご褒美にしたら自分のやる気が出るのか」を知り、日常にそれを取り入れることが必要なのです。「座っている時間」を減らす「座っている時間」を減らすがんばっているのに、やる気が落ちているときは、座りすぎや運動不足を疑ってみましょう。世界保健機関(WHO)の「身体活動および座

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