エルダー2025年8月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2025.854第60回今回は、「リーダーシップ」について取り上げます。前回取り上げた「組織※1」と同様に、日常的に使っている言葉ですが、あらためていわれると何か説明しにくい用語かと思います。リーダーシップの定義は一定ではないリーダーシップの定義は、『日本大百科全書』(小学館)で調べると「分有された目標・目的に向けて、フォーマルに組織化されたり、インフォーマルに結集した人々の集合的努力を動員する地位を獲得し、その役割を積極的に遂行する行動・過程をいう」とあります。具体的な定義ではありますが、少々わかりにくいので、『日本国語大辞典』(小学館)を見ると、リーダーは「先頭に立ってみんなを引っぱっていく人」であり、リーダーシップは「リーダーの地位・職責。力量・統率力」とあります。最近、話題のAI※2に試しに聞いてみると、「リーダーシップの定義はさまざまですが、一般的には組織やチームを目標に導く能力とされています。」と答えが返ってきました。複数の定義を並べてみましたが、ここでご理解いただきたいのは、リーダーシップの定義は決して一定ではないということです。先ほど定義の線を引きましたが、この部分だけでも、能力(力量・統率力)、プロセス(行動・過程)、責任(地位・職責)と、リーダーシップに必要な要素にいくつもの見方があることがわかります。この点はリーダーシップの議論でじつに議題にのぼる部分で、代表的なものとしては、リーダーシップは生まれながらに有している資質とする特性理論や、優れたリーダーシップを発揮する人の行動パターンで判断される行動理論、リーダーシップは状況や条件に影響を受けるとする状況適用理論などがあります。これらの理論は提唱された時系列で並べていますが、当初は資質なので後天的に習得するのはむずかしいとされていたものが、時代を経て、習得でき場合によって変化するものととらえられている点は変遷として押さえておくとよいと思います。なお、リーダーシップの反対語はフォロワーシップといい、主体的にリーダーを支え、組織に貢献することをさしている点も押さえておくとよいでしょう。理想的なリーダーシップとは何かところで、しばしば「上司に求められるリーダーシップとは」といったような“あるべきリーダーシップ論”が取り上げられることがありますが、じつは何が理想的なリーダーシップかも「リーダーシップ」※1 本連載第59回(2025年7月号)「組織」をご参照ください。https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202507/index.html#page=56➡※2 ここではMicrosoft社のCopilotを使用。コンサルティングでも調査や資料作成で使用する機会が増えてきた

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