エルダー2025年9月号
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2025.98図表1 高齢者の主観的健康状態、通院・往診頻度、病気症状(%)出典:内閣府「令和4年度 高齢者の健康に関する調査結果」をもとに筆者集計注:病気症状に関しては、65歳以上の平均割合が10%を超えているもののみを抜粋しているN主観的健康通院・往診頻度良い、まあ良い普通あまり良くない、良くない不明・無回答週に1回以上月に1~3回年に数回利用していない不明・無回答65~69歳51537.3 46.0 14.8 1.9 4.5 43.1 23.1 25.6 3.7 70~74歳71832.6 43.9 21.3 2.2 4.9 47.4 23.1 21.4 3.1 75歳以上1,18127.2 38.5 31.0 3.3 10.8 53.7 13.5 18.1 3.9 N病気症状循環器系(高血圧症等)筋骨格系(痛風、腰痛症等)目の病気内分泌・代謝障害(糖尿病等)呼吸器系(鼻炎、ぜんそく等)消化器系(胃、肝臓の病気等)特に病気や症状はない65~69歳51538.4 18.4 19.8 25.6 13.0 9.9 14.6 70~74歳71845.1 23.3 21.6 23.3 11.0 9.3 9.6 75歳以上1,18148.0 26.6 26.6 19.0 9.7 11.5 7.1 のための多様な制度を設けています。ニーズに合う選択肢を設けて、高いモチベーションを維持しながら働き続けてもらいたいからです。ただし、正規雇用労働者のみならず、パートタイマーや契約社員として働く人も、それらの制度の対象としているかどうかは、企業によってまちまちです。正規雇用労働者にとって、定年制度が働き方の大きな分岐点になっていることはいうまでもありません。現在も60歳を定年年齢として定めている企業が最多を占めていますが、最近では65歳定年の会社も増えています。60歳までは、多くの会社が統一的な制度によって人事管理を行い、評価や処遇を決定しています。しかし60歳以降の雇用管理の仕方は、企業によってさまざまです。厚生労働省の令和6年「高年齢者雇用状況等報告」によると、常用労働者数21人以上の全企業のなかで、定年年齢を64歳以下に定めている企業は67・3%を占めます。これらの企業は、従業員が希望すれば65歳まで継続雇用(再雇用)していると考えられます。また、25・2%の企業は定年年齢を65歳としています。65歳以降は、全体の31・9%の企業が70歳までの就業確保措置を実施しており、その多くを継続雇用制度(25・6%)が占めています。なお、全体の3・もう一つは育児です。晩婚化が進んでいるため、高年齢期に至っても子どもの教育費がかかる家庭も増えているかもしれませんが、おもには孫の世話です。国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」によると、最初の孫が3歳になるまでの間に何らかの手助けを行った祖父母の割合は年々増加し、直近(2015〈平成27〉〜2018年生まれの孫)では、祖母の57・8%、祖父の31・5%がサポート経験ありと答えています。なかには、少数ですが、介護と育児の両方を抱えている人もいます。ある国際学会では、これを「サンドイッチ現象」と呼び、問題視していました。このような多様なニーズは若い年代にもありますが、健康や介護の問題に現実的に直面しやすくなるという点は、高年齢期特有といえるでしょう。また、役職定年や雇用形態の変化をともないながらキャリアを着地させていくなかで、どのような働き方を志向し選択するかにも個人差があります。これらに対して、企業などの需要サイドは、どのような制度を設けているのでしょうか。雇用管理制度の多様性雇用管理制度の多様性2人手不足を背景に、多くの企業が高齢従業員

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