執行役員管理本部人事総務部細谷守生部長(左)、管理本部人事総務部中塚理子課長(右)エルダー21特集多様で柔軟な勤務制度を整備し、生涯現役で働ける職場づくりこうした背景には、建設コンサルタント業界全体が抱える慢性的な人材不足がある。上下水道の設計には技術士をはじめとして国家資格が不可欠であり、シニア人材を含むこれらの資格者数が企業の競争力を左右する。また、「シニア社員」が長年の経験でつちかった技術的知見やノウハウは、会社にとって貴重な財産であり、その継承が重要な経営課題となっていたという。定年を60歳から70歳へ延長したことで、「シニア社員」の知見をより長く組織内に留めることが可能となり、技術継承を着実に進める体制が整った。社員は70歳まで安定した収入を得られるようになり、将来の生活設計が立てやすくなるという安心感を得て働くことができるだけでなく、70歳以降も実力と健康状態次第で契約社員として継続して勤務ができることがやりがいにつながっている。同社管理本部人事総務部課長の中なか塚つか理さと子こさんは、制度改定後の高齢者雇用の状況について、次のように話す。「2025(令和7)年3月に70歳定年制の導入以降、初めて4人の方が定年を迎えました。全員が契約社員として継続雇用され、それぞれの方がご自身の技術力を活かして、変わらずご活躍されています。2019年の制度改定以来、自治体OBの技術職や、民間企業での定年・再雇用を経て当社に入社していただく方も増えています。『まだまだ自身の能力や経験を活かして貢献したい』、『長く働ける点が魅力』という声が届いています」希望や都合に合わせて働ける希望や都合に合わせて働ける多様な勤務制度を整備多様な勤務制度を整備同社では、社員の生涯現役を実現する重要な要素として、自由度の高い働き方を掲げ、本人の希望や都合に合わせて働ける制度の整備に取り組んでいる。「フレックスタイム制度」は、コアタイムを10時〜15時30分と定め、社員が自身の都合に合わせて勤務時間を調整することができる。毎日利用可能で、通院時間の確保や体調変化に合わせて早めに帰宅できるなど、自身の体調管理や家族の介護に活用できるほか、朝の通勤ラッシュを避けたオフピーク出勤や孫の保育園の送り迎えなど、個人の事情に柔軟に対応できる制度として活用されている。「在宅勤務制度」は、週2回を上限として導入している。設計業務は、おもにパソコン上で行うため在宅勤務にも適していることから、シニア社員の多くが在宅勤務制度を活用しており、「通勤の体力的な負担を軽減しつつ、集中して業務に取り組める」と好評だ。家族の育児や介護を行っている社員については、在宅勤務制度が週2日から3日へ拡充される。また、例えばがんの治療などを行っている社員については、個別に治療と仕事の両立支援プ
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