エルダー2025年9月号
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2025.922もルールを見直した。「60歳以降も条件を満たせば昇格が可能で、実際に昇格したシニア社員もいます。これは、従来なかったがんばりを評価する仕組みとした成果だと考えています」(細谷部長)また、65歳到達時に一律で職責を軽くしていた制度も見直した。「従来の制度では、65歳到達時に面談・仕事内容の見直しと再格付けを行い、原則として1等級ダウンと業務負荷の軽減をルールにしていました。しかし、モチベーション、体力、スキルなど個人差が大きく、一律の対応では適切な処遇ができないと判断し、本人の希望、貢献度、上長の推薦に基づき、同等の職責を継続できるようにしました。新制度では、役職や責務の重さも考慮しながら、直近の人事評価結果を活用して処遇を決定します。会社への貢献度が大きい方については、年収が変わらずに維持するケースもあります」(中塚課長)また、組織の持続的発展と人材育成を目的として、同時に「ポストオフ制度」を導入した。従来は60歳以降もマネジメント職(M職)継続が可能であったが、後進育成と計画的な世代交代を推進するため、60歳となりシニア職に移行する際は、原則として役職から離れ、専門職(E職)に移行し、経験と知識を活かす仕組みに変C2→C3に昇進し、条件を満たしたところでエキスパート(E職)とマネジメント(M職)に分かれる。エキスパートとマネジメントは役割の違いであり上下の差はない。60歳以降は「シニア職」に位置づけられ、「シニア等級」に再格付けが行われる。例えば、60歳到達時点でE3に相当すると判断されれば、「SーE3」という等級に格付けされる。2019年4月の人事制度改定から5年が経過し、さまざまな課題が見えてきたため、2024年4月にシニア職の処遇制度については見直しを行った。まず、60歳到達時に一律の比率で決定していた年収を個々の貢献度に合わせて変動するように変更した。「60歳以上のシニア社員は原則として賞与はありませんが、年収ベースで処遇が決定されるため、賞与分が月給に上乗せされることで、月々の給与が上がるケースもあります」(中塚課長)評価制度については、自治体を顧客とする入札型受注が事業の基本であるため、一般的な個人別売上げ目標による定量評価の適用が困難であったことから、現場ヒアリングを実施し、技術者に求められる具体的な行動を職種別に明示した「役割行動評価」を導入している。今回、この人事評価に基づくシニア職の昇格についてランを立て、完全在宅勤務や通院時間確保のための中抜けをプランに組み込むなど、個々の状況に合わせて柔軟な対応を行っているそうだ。また、本人の申し出により契約社員に切り替えることも可能となっている。契約社員に変更すると、個別の労使間協議により完全在宅勤務のほか、短日・短時間勤務など、正社員よりもさらに柔軟で自由度の高い働き方が可能となる。契約社員への切り替えは、年2回実施する上長との面談で相談することができ、ライフプランに合わせた自由な働き方として、60代前半の社員が移行したケースもあるそうだ。柔軟な処遇制度と柔軟な処遇制度とポストオフ制度の導入ポストオフ制度の導入シニア社員を戦力として活用している同社では、柔軟で多様に働ける仕組みだけではなく、評価・処遇制度においても、柔軟に対応する仕組みの整備に取り組んでいる。管理職である「マネジメント(M職)」、専門職をさす「エキスパート(E職)」、プレイヤーをになう「プロフェッショナル(C職)」、一般職の「アソシエイト(A職)」の4職群による複線型キャリアパスを整備。例えば、総合職で入社する技術者の場合は、C職から始まり、人事評価や会社指定の資格取得の有無などでC1→

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