エルダー2025年9月号
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これらについては、2021年の改正高年齢者雇用安定法の施行時に、厚生労働省から改正の概要に関するパンフレットやQ&Aが公表されており、これらを参考に取り組むことが重要となっています。当時のパンフレットが作成された時点では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下、「フリーランス保護法」)が制定される前でした。しかしながら、同法においては、雇用契約からの切り替えであるとしても、適用対象外とするような定めは置かれていませんので、業務委託へ切り替えた場合には、同法が定める内容についても遵守しなければならないということには、あらためて留意しておく必要があります。高年齢者雇用安定法と就業機会の確保1現行の高年齢者雇用安定法においては、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています。また、2022(令和4)年時点の健康寿命も、男性は72歳、女性は75歳を越えており、65歳を迎えても健康的に働くことができる方が増えているというデータもあります。そのため、65歳を超えてからについては、継続雇用のみではなく、就業確保措置として業務委託などのフリーランスとしての業務を委託することも可能となることから、業務委託契約への切り替えという方法が取られることが増えていくのではないかと思われます。65歳を超えてから業務委託へ変更する場合にも、フリーランス保護法の適用があること、労働者ではないのであれば、依頼や業務の諾だく否ひの自由を確保するようにしておくことは、特に留意しておく必要があります。A70歳までの就業確保措置において、高齢社員に業務委託として就労を続けてもらう際の留意点について知りたい人材不足が続いており、65歳の定年後も継続雇用をするほか、人材確保のため就業機会確保措置として業務委託契約に基づき就業してもらうことも検討しています。雇用から業務委託に変更する場合の留意点について教えてください。Q1第87回 就業確保措置とフリーランス新法、経歴詐称と内定取消し 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲/弁護士 髙木勝瑛2025.942知っておきたい労働法A&Q

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