エルダー2025年9月号
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 ミドル・シニアだからこそできる「大人の学び直し」を、科学的な見地からひも解く本連載。 ミドル・シニアだからこそできる「大人の学び直し」を、科学的な見地からひも解く本連載。4回目のテーマは“「脳番地」を活かした学び方”です。1万人の脳を診断した脳内科医・4回目のテーマは“「脳番地」を活かした学び方”です。1万人の脳を診断した脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生に、脳のメカニズムを利用した効果的な“学び直し”の方法に 医学博士の加藤俊徳先生に、脳のメカニズムを利用した効果的な“学び直し”の方法に ついて、お話しいただきました。ついて、お話しいただきました。「脳番地」を活かした学び方株式会社脳の学校 代表/加藤プラチナクリニック 院長 加か藤とう俊とし徳のり第4回2025.946八つの「脳番地」を理解する八つの「脳番地」を理解する脳には1000億個以上の神経細胞があり、それぞれの細胞は機能ごとに集団を形成し、脳内に拠点をつくっています。例えていうなら、脳の中には会社組織を構成する部署のようなもので、私はこれを「脳番地」と呼んでいます。脳番地は右脳と左脳に各60ずつ、計120ほど形成されていますが、そのなかでぜひ知っておいていただきたいのが、次の八つの脳番地です。①思考系脳番地…意思決定をになう「脳の総司令塔」。何かを考えるときに働く。②理解系脳番地…脳に入ってきた情報を統合する役割をになう。わからないことを理解しようとするときなどに働く。③記憶系脳番地…情報を整理し、必要に応じて引き出す機能を持つ。ものを覚えたり、思い出したりするときに働く。④感情系脳番地…喜怒哀楽などあらゆる感情を生み出し、それを管理する領域。生涯にわたって成長を続ける。⑤伝達系脳番地…コミュニケーションや情報発信をになう「脳の広報」。ほかの脳番地と密接に連携する。⑥運動系脳番地…体の動きをコントロールする役割をになう。すべての脳番地のエネルギー源。脳全体を活性化するための起点にもなる。⑦聴覚系脳番地…耳から入ってきた音声情報を処理する領域。言葉や音を解析し、情報をほかの脳番地に伝える役割もになう。⑧視覚系脳番地…目から入ってきた情報を処理して脳に伝える機能を持つ。目で見た映像や画像、読んだ文章を脳に集積させる。脳番地を使いこなし、成長を続ける脳番地を使いこなし、成長を続ける八つの脳番地の特性を理解し、使いこなすことができれば、学ぶ力は成長します。ただ脳番地は単独では効率的に働かないため、違う系統の脳番地との間の連携強化が重要になります。例えば、記憶力を高めるためには、記憶系脳番地を鍛えればよいと思いがちですが、記憶系は単独ではなかなか動きません。記憶系と強くかかわる思考系や感情系と積極的にリンクさせることで、記憶を定着させたり、引き出したりすることがスムーズになります。脳番地は、会社組織などと同じで、それぞれがうまく連携ができれば、より大きな成果が期待できるのです。ミドル・シニア世代の場合、長く同じ仕事を

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