エルダー2025年9月号
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エルダー47特徴もあり、特定の脳番地ばかり使い続けることにはデメリットもあります。学び直しで脳が成長学び直しで脳が成長頭がよくなる頭がよくなる八つの脳番地の特徴を知っておくと、生活のなかで「いまここを使っているな」と意識することができます。脳番地を意識することで脳は成長するため、それはとても大切なことです。勉強しながら脳番地を意識することも重要です。「今日はこの脳番地を使ったから、明日はあっちの脳番地を使おう」と考えながら勉強をするなど、脳番地をまんべんなく使おうとすることは、学習のマンネリ化を防ぐことにもなります。以前、高校生から「本当はなぜ、勉強しなきゃならないのかよくわからない。でも勉強したら、自分の頭がよくなるというのならやってみようかな」といわれたことがあります。つまり彼は、勉強は嫌いだけれど、頭がよくなりたいと思っているのですが、これは重要な視点ではないでしょうか。勉強をしたいと思わなくても、学ぶことで脳が成長し頭がよくなる――。それが学び直しの意義にもなるでしょう。独自に学ぶ「独学」独自に学ぶ「独学」「学びのスタイルの確立」が重要「学びのスタイルの確立」が重要ミドル・シニアの学び直しでは、楽に学ぶのではなく、実感を持った学びにすることが必要だと考えています。要するに「独学」ということです。「独学」とは、「独りで学ぶ」ということではなく、「独自に学ぶ」こと。そしてその「独自」とは何かというと、「自分だったらこう学ぶ」という独自の学びのスタイルを確立することです。10・20代での学びは、学業課題がはっきりしていて、出てくる問題もある程度想定できます。しかし大人の場合はそうではないので、学ぶ課題のつくり方、そして学びの手順も、自分独自に考えなければなりません。自分独自の学び方を確立することと、脳番地を活かすことは一体だということも、ぜひ理解していただきたいと思っています。人はそれぞれ、「体験してみたらできる」、「本を読んだらわかる」など、得意な学び方は異なります。脳番地を意識し、「自分だったらこれが頭に入りやすい」という勉強法を考えること自体が大切なのです。こうしたプロセスが、ミドル・シニアの学び直しの醍醐味ともいえるでしょう。(取材・文 沼野容子)していたり、生活がパターン化したりして、偏った脳番地ばかりを使っているケースが少なくないので、ふだん使っていない脳番地を意識し、働かせていくことが重要です。脳番地をまんべんなく使う生活によって、脳全体が活性化します。「強い脳番地」から学びをスタート「強い脳番地」から学びをスタートミドル・シニアの学び直しでは、仕事などで使い慣れた脳番地を利用し、学習を始めるのがおすすめです。例えば営業職の場合は伝達系、研究職なら理解系、秘書であれば記憶系というように、職業により、よく使う脳番地は違います。よく使う脳番地のネットワークは、慣れた経路なのでストレスが少なく快適です。そのため処理スピードも速いので、勉強にも活用できれば、短時間で効率的に学べるということです。さらに人によって得意な脳番地も違います。なかでも顕著なのが「視覚系」と「聴覚系」です。視覚系が強い人の特徴は「スポーツやゲームが得意」、「文字や数字を映像で覚える」などで、聴覚系が強い人は「人の話を聞くのが好き。聞くのも苦にならない」、「言葉や数字は、口ずさんで覚えることが多い」などです。ただし、視覚系は「疲労しやすい」といった

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