2025.954※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します独立行政法人労働政策研究・研修機構(編集・発行)/2200円宮みや島じま忠ただ文ふみ 著・小こ島じま明あき子こ 著/日本経済新聞出版/2640円新時代のキャリアコンサルティング[増補版]定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図すべての企業に65歳までの雇用確保が義務づけられ、70歳までの就業機会確保が努力義務となったいま、定年を延長したり、定年そのものをなくしたりする企業が増えてきている。少子高齢化にともない、働くミドル・シニアの比率は今後も高まることが予想されるなか、本書は、ミドル・シニアの活躍を実現していくためのヒントを個人、企業、社会それぞれの視点から提示する。この世代の活躍促進・支援のためのカリキュラムの開発・運営者と、キャリアや協同労働に関する調査研究者の2人が協力して、ミドル・シニアの働き方の現状について労使双方の課題を浮き彫りにしながら、現場で得られた知見と調査データ等をふまえたキャリア意識の現状、社会構造的な視点を交えて、課題解決に向けたポイントを整理している。例えば、「働き続けてほしい人」の姿を10のキーワードで示しつつ、シニアの能力と貢献できる領域や、役割について企業側が考える際の視点を提示。また、多様な人材を企業の成長につなげていくために代替可能なミドル・シニア人材の増加を防ぐキャリア形成支援や、労働者協同組合などの新たな働き方も含めて、これからの人事設計のポイントを説いている。働く人のキャリア形成や、必要なスキルを習得する機会の提供などを支援するキャリアコンサルティングは、従業員の定着率向上や生産性向上にもつながることが期待されている。本書は、企業、ハローワークなどの需給調整機関、教育機関など幅広い現場で活用できるキャリアコンサルティングに役立つ内容として、基礎的理論から新しい理論まで、新旧のキャリア理論、カウンセリング理論を、実践との結びつきを意識して解説。9年ぶりに刊行された増補版で、キャリア理論では、伝統的・基礎的な理論を拡充しつつ、ジョブ・クラフティング、ナラティブ・アプローチなど新たな内容を追加。カウンセリング理論では、近年発展がめざましい認知行動的アプローチと関連が深いマインドフルネス、セルフ・コンパッションなどのカウンセリング技法のほか、基礎的な理論も拡充し、全編で新たに24項目が加わった。ページ数は初版の約1・5倍に増したが、一つの理論を4ページでコンパクトに整理して解説し、どこからでも体系的に読むことができる。キャリアカウンセラーや職業相談、学校でキャリア教育をになう人、これから学びたい人にも、わかりやすく活用しやすい一冊である。基礎から最新の理論までわかりやすく解説。“キャリア”にかかわるすべての人へミドル・シニアが活躍するためのヒントを、個人、企業、社会の視点から示す
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