エルダー2025年10月号
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特集している。5「手洗いタイマー」や「アルコールセンサー」など、衛生管理の徹底をうながす設備について外国籍の社員や障害のある社員などにもわかりやすいイラストつきマニュアルを作成。だれもが視覚的に理解できるよう工夫を凝らした。6各社員の小さな改善提案を反映する「チョコ案」制度を実施。現場社員の声を拾ったこの制度が作業負担の軽減や職場環境の改善につながっている。Ⅱ企業の沿革・事業内容1962年に創業者が農業を始め、2年後にはこんにゃくの栽培に着手した。1994年には有限会社として法人化し、2002年に株式会社に組織変更した。創業以来、こんにゃくや漬物、有機野菜などを生産・加工・販売に至るまで一連の工程を自社で一貫して行う体制を整備、6次産業化を推進する農業生産法人として地域に貢献してきた。農産物や惣菜キット製品の開発、海外輸出、大学との共同研究など業容を拡大し、持続可能な農業を目ざし、環境保全や農家育成にも注力している。業務内容は、4部門に分類され、農場部門として本社所在地である群馬県利根郡昭和村と群馬県太田市に農場を有し、野菜の栽培を行っている。ほかに各種加工品の製造を行う製造部門と管理・運営をになう事務部門、製品の流通および販売活動を担当する販売・資材部門がある。同社では、社員が農業で働くことを通じて感動できることを目ざし、次の世代に農業の未来を託すため、さまざまな支援を通じて人材育成を推進している。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方全社員126人のうち、60歳以上は17人、そのうち70歳以上は7人で全体の約6%を占めている。これらの高齢社員の多くは、20年近く勤務しており、長年にわたる経験と知識を活かして同社に貢献している。高齢社員の活躍を推進する取組みを始めた背景には、社員が長く働き続けるなかで、だれもがいずれ高齢になるという現実がある。特に、65歳を迎えた段階で一律に退職となる一般的な制度では、元気で意欲のある高齢人材を失うこととなり、業務の継続に支障をきたすおそれがある。このため、労働力を安定的に確保する必要があるとの判断から65歳以降も働き続けられるように就業規則を改定し、これにより高齢社員が時間給社員(限定職)として勤務を継続できる制度が整備された。制度面からの支援を行うことで、高齢社員が安心して働き続けられる環境づくりを進めてきた。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①雇用形態社員は「正社員(総合職・一般職)」、「時間給社員(限定職)」に分かれ、正社員はフルタイム勤務が基本であり、業務状況に応じて残業が発生することもある。時間給社員(限定職)は業務範囲や勤務条件が限定された職種である。また、65歳以上の社員は原則として限定職契約に移行する。働き方は「働き方ポジション選択シート」により、社員が自身の状況に応じて柔軟に選択できる仕組みとなっている。例えば、子育て中の社員は、時間給社員(限定職)に移行することで子どもの体調不良時に速やかに帰宅できるなど、家庭環境に配慮した働き方が実現した。子育て期間終了後に再び正社員になることも可能であり、「働き方ポジション選択シート」は四半期ごとの上長との面談において申告・修正を行う。エルダー9令和7年度 高年齢者活躍企業コンテストグリンリーフ株式会社。敷地内には社員の出身国の国旗が掲揚されている

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