エルダー2025年10月号
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②就業規則の改定就業規則の見直しと改善を目的として、「就業規則作成委員会」を設置している。この委員会は、各部署から社員1名ずつを選出し、現場の声を反映させる形で構成されている。委員会は年に1回の開催を基本とし、必要に応じて随時開催される。委員会には社会保険労務士も同席し、法的観点からの助言を受けながら、実効性のある改定案を作成する。作成された案は、社長の了承を経て正式に就業規則として改定される仕組みである。「70歳を過ぎても本人が希望し、自力で出社できる場合は勤務を継続できる」というユニークな規定は、この委員会からの提案により実現したものである。就業規則作成委員会は、現場の実情と社員の声を制度に反映させる重要な役割をになっており、柔軟で実用的な就業環境の整備に寄与している。③評価・賃金制度給与体系は、職種や勤務条件に応じて差を設けており、不公平感を生じさせないよう配慮されている。特に時間給社員(限定職)は、業務内容や責任範囲に応じて時給に差を設けることで、社員の納得感を得ている。評価制度は、一般職以上の社員は「成長シート」を使用し、四半期ごとに自己評価と上司評価を実施している。時間給社員(限定職)では、業務の習熟度や対応可能な作業範囲を確認するために「多能工シート」が活用されている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①資格取得支援社員のスキル向上と業務効率化を目的とした資格取得支援制度を導入している。パソコンスキルや簿記など業務に直結する資格は、会社から取得費用の補助を受けられるほか、取得後には資格手当の支給が行われるものもあり、社員の意欲向上につながっている。また、工場内で必要なフォークリフト、クレーン、玉掛けなどの資格は、取得費用の補助に加え、勤務時間内での講習の受講・資格の取得が認められている。これにより、業務に必要な技能を効率的に習得できる環境が整備されている。これらの制度を通じて、社員の能力開発を支援し、職場全体の安全性と生産性の向上を図っている。②業務改善への意見の吸い上げ社員が日常業務のなかで感じる小さな改善点を提案できる仕組みとして「チョコ案」制度を導入した。これは現場での作業効率や安全性を向上させるための「ちょっとしたアイデア(=チョコっとした案)」を社員から募るものである。現場の声を反映することで、働きやすい環境づくりを推進している。実際にこの制度を通じて、昇降台やハンドリフトの導入が実現しており、作業負担の軽減や安全性の向上に寄与している。(3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①職場改善2024(令和6)年稼働の新工場ではバリアフリー、床の転倒防止対策、LED照明を導入し、高齢社員が働きやすい作業環境に配慮している。②休憩時間製造部門においては通常の昼休憩に加え、午後3時から30分間の休憩時間を設け、作業負担の軽減を図っている。また、スポットクーラーを導入し作業環境の温度管理を行っており、社員の健康と安全に配慮した取組みを進めている。一方、農場部門では、夏季の高温対策として早朝6時から作業を開始し、日中の昼休憩を長めに設定するなどの工夫がなされている。加えて、ファンつきベストの配付や、パラソルを使用し日陰を確保してから収穫作業を行うなど、現場に即した対策が実施されている。③衛生管理製品加工工場に入る前の手洗い時間の個人差をなくすため、タイマーを設置し、全社員が一定時間手洗いを行うよう統一している。また、アルコール消毒をしなければトイレから出られグリンリーフ 株式会社2025.1010社内に貼り出されている「チョコ案」による改善事例

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