特集Ⅱ企業の沿革・事業内容1975年に、北海道千歳市でビルメンテナンス業を柱として創業。創業と同時に産業廃棄物収集運搬業許可(北海道)および一般廃棄物収集運搬業許可(千歳市)を取得し、1982年には建築物清掃業登録を完了するなど、着実に事業基盤を構築してきた。現在の事業内容は、ビルメンテナンス業を中心に、産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬業、建築物清掃業、環境整備事業、スズメバチ駆除業務など多岐にわたる。千歳市という立地を活かし、新千歳空港をはじめとする重要インフラの維持管理にもたずさわっている。2018(平成30)年の北海道胆い振ぶり東とう部ぶ地震では、発災直後から迅速な初動対応を行い、翌日には新千歳空港の復旧作業に着手。2022(令和4)年の豪雪災害では、自社の除雪機械を投入して地域の交通維持に貢献するなど、地域のインフラを支える企業として重要な役割を果たしている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方おもな事業領域であるビルメンテナンス業は、仕事内容や不規則な勤務時間などが要因となり、特に若年層へ魅力が伝わりづらいという業界の仕組みに起因する課題を抱えている。また、千歳市は航空自衛隊や陸上自衛隊の駐屯地を擁していることから、退職自衛官が多く、地域に定住している。そこで、自衛隊退職者を安定的な労働力として確保してきたが、近年は退職者が減少し、採用が困難になってきている。このような複合的要因により人手不足が深刻化するなか、高齢従業員の会社への貢献度を再評価し、活躍を後押しする方向で職場改善を進めることとした。現在、60歳以上の従業員が全体の約60%を占めており、高い就労意欲と豊富な経験を活かし、事業運営の中核をになう存在となっている。同社では、高齢従業員が心身ともに健康な状態で、意欲と能力に応じて可能なかぎり長く活躍し続けられる職場環境を整備することを経営方針の一つとして定めている。将来的には、賃金体系を含む処遇全般の改善を推進するとともに、安定的な雇用を保障するべく、可能なかぎり正社員への登用を進めている。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制度と継続雇用制度の整備従業員が年齢にかかわらず、意欲と能力に応じて長期的に就労を継続できる環境を整備するため、2024年4月に正社員の定年年齢を63歳から65歳へと引き上げた。定年後も嘱託社員として希望者全員70歳まで勤務可能とする継続雇用制度を整備している。さらに、70歳を超えて就労を希望する者については、パートタイム従業員として75歳まで雇用を継続することができる。②「元気事業部」の創設継続雇用制度に加え、個々のライフステージに応じたより柔軟な働き方を実現するため、2010年より登録制の「元気事業部」を設置した。これは、各雇用形態の上限年齢に達した従業員が、曜日や時間に縛られることなく、自身の都合に合わせてスポット的に勤務できる制度である。同事業部は、請負・委任契約ではなく、雇用関係(日々雇用)にある点が特徴で、労災保険についても適用されるため、安心して働くことができる。登録時には個々の強みや経験を申告エルダー13令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト株式会社クリーン開発
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