する書式が用いられ、各人の能力を最大限に活かす業務配分が行われている。この制度は、高齢従業員に活躍の場を提供するだけでなく、若手・中堅従業員が育児や介護などで突発的な休暇を取得する際に、その業務を補完する役割も果たしている。この相互補完の仕組みが強い誘因となり、直近2年間で11人の退職者が再入社するという結果に結びついている。③人事評価制度の改善同社では従業員のモチベーション向上を目的として、絶対評価による人事評価制度を導入している。上長が「顧客からの評価」および「本人の自己評価」からの申告内容を総合的に勘案して年3回実施し、経営層へ報告される。評価プロセスの透明性と従業員の目標意識向上を目的として、役職者による「取組み計画」と「結果」の全体報告会が行われている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①体系的な人材育成研修の実施全従業員を対象に、育成のための年間計画を策定し、階層や職務に応じた研修を計画的に実施している。研修内容は、社会情勢や市場のニーズを的確にとらえた最新の情報を組み込んでいる。特に、繁忙期に備えて毎年11月に全従業員を対象として行う「安全・品質・接遇」に関する講習会は、全社的な意識統一とサービス品質の向上に不可欠なものとなっている。研修資料には、高齢従業員も理解しやすいようマンガを活用するなどの工夫を行い、要点が頭に入りやすいよう配慮している。②技能継承と世代間交流の促進各事業所の主任が年1回、取締役を含めた全従業員に対して取組み計画と結果報告を実施している。現在、72歳以上の主任が3人おり、デジタルカメラやスマートフォン、パソコンを駆使して、従業員が計画に対して真摯に取り組んでいる姿を写真撮影し、レポートにまとめて発表している。また、近隣の専門学校の学生を対象に、送迎つきの清掃アルバイトとして採用する支援プログラムを実施している。学生と経験豊富な高齢従業員が共同で作業を行う体制を構築しており、単なる経済的支援に留まらず、世代間の技術・知識の伝承と相互理解を促進している。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①作業環境の改善草刈り業務では、安全管理策を二段階で実施している。第一に、新規の業務従事者に対し、初期段階での安全講習を必須とし、作業の標準化と安全意識の涵かん養ようを図っている。第二に、2024年より作業単位を3人体制へと移行し、作業中の相互監視を可能とした。これにより、ヒューマンエラーに起因する事故を抑制すると同時に、夏季の熱中症など突発的な健康問題への即応性を高めている。スズメバチ駆除業務では、従来、年間最大1300件に達する案件の全工程(顧客対応、現場作業や指示、報告書作成等)が特定の担当者に集中していた。このため、受付けから報告書作成に至るワークフローを包括的に管理する新システムを自社で開発・導入。情報伝達の迅速化と事務作業の抜本的な省力化を実現している。②社屋・休憩環境の整備従業員のウェルビーイング向上を目的とし、社屋の建替えを機に、休憩スペースの機能的・質的向上を図っている。冷暖房設備はもちろん、無料の飲料提供(コーヒーやお茶)、大型テレビやソファーの設置など、快適な休息環境を提供している。この休憩スペースは、業務終了後の自発的なコミュニケーションの場としても機能している。株式会社 クリーン開発2025.1014元気事業部に登録して働く高齢従業員
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