エルダー2025年10月号
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特集県松本市へ移転。これまで長野市、東京都に事業所を展開している。創業以来、長野県を中心に事業を展開しており、業務アプリケーションのみならず組込みシステム(ファームウェア)の開発にもたずさわっている。現在では首都圏にも進出し、金融システムの開発・保守業務なども手がけている。主軸事業は「業務システム開発」、「システムエンジニアリングサービス」、「ECサイトの構築」、「戦略策定&コンサルティング」、「プロジェクトマネージメント支援」、「システム運用・保守&ヘルプデスク」である。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方2020(令和2)年の社員数は42人であったが、中途採用者の増加により、2025年4月1日時点では82人に増加した。60歳以上は8人(約1割)、70歳以上は1人が在籍しており、高齢社員は営業・経営企画、開発・技術などの職種にたずさわっている。同社の技術系高齢社員は、過去にCOBOL※1やFORTRAN※2などのプログラミング言語に精通した人材であり、技術革新により新しいシステムが開発された場合においても、これまでの技術力・専門力・経験から柔軟に対応でき、貴重な人材として活躍している。2020年に経営危機に陥ったことを機に、現社長の発案により「社員が会社を好きになって、やりがいのある職場にする」ことを最上位目標に設定した。そこで、10年以上改定を行っていなかった就業規則を見直し、人事制度の明文化、処遇の改善、人事評価制度の構築、退職金制度の充実を図った。制度改定にあたっては、経営陣と弁護士、公認会計士、社会保険労務士のプロジェクトチームを結成し、定年制廃止などに向けた検討を重ねた。専門家を交えることで、法的判断や収益構造との整合性、各社員の生涯設計の有効性を図ることができた。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制の廃止以前は定年60歳、その後嘱託社員として65歳まで再雇用としていたが、会社の成長の根幹は人事制度にあるとの確信から、2020年に短時間正社員制度を導入し、2023年に定年制を廃止した。短時間正社員制度、および定年制の廃止にあたっては、社員に「会社が社員に求める能力、期待している役割」を明確に説明し、企業と社員双方にとって納得性の高い制度として導入を図った。現在、同社では高齢社員活用方針に「人それぞれ置かれている環境・事情が全く違うため、各自の選択を尊重した柔軟な就業環境を提供する」を掲げており、高齢社員に多様な働き方が可能となるよう配慮している。60歳を迎える時点で本人と会社の間で働き方の意思確認を行い、①「いままで通り管理職を続け今後も上位職を目ざす」、②「管理職を外れて一般職としてフルタイム勤務」、③「一般職として月の出勤を半分にする」など、希望に応じた多様な働き方の選択肢を設けている。60歳以上の社員には、働き方に関する意向の確認を毎年行っており、「個人の希望」と「会社が求める社員に期待する役割」、「社員が持つ能力や意欲」などを話し合い、会社と個人が納得したうえで働き方を決めている。②賃金制度の見直し制度改定前は、人事制度が明文化されていなかったため、経営再建を契機に賃金制度の見直しを行った。そして昇給・評価制度との連動を※1 COBOL(コボル)……1960年ごろに開発された事務処理向けのプログラミング言語※2 FORTRAN(フォートラン)……1950年代に開発された科学技術計算向けのプログラミング言語エルダー17令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト株式会社マイネットシステム

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