図るため、役職・等級別の月額給与バンド(上限額から下限額まで幅をもたせた帯状の賃金構造)を設定し、公平性を確保することで社員にとっての透明性を高めた。給与バンドは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、長野県内の同業・同規模の統計資料を参考として賃金基準を設定。県内の同業他社より高い給与水準に設定するなど、社員の納得感やモチベーションを高めるための工夫がなされている。③人事評価制度の導入「60歳になってもマネジメント能力・技術力が落ちることはない」という考えから、60歳時点での一律の賃金の減額などは行っていない。一方で「高齢者だから」と特別視することもなく、60歳以降の管理職においては、能力や貢献度をきちんと評価し、それに見合った報酬を提供するため、人事評価制度の見直しを実施した。現在は、半期ごとに面談を設定して目標管理シートをもとに、目標設定と実績を本人と評価者で面談評価し、総合点数で評価レベルを決定しており、評価レベルは翌年の昇給に反映している。ある高齢社員は、本人の希望により役職を外れて一般職に戻ったが、貢献度が高いことから、以前の支給額とほぼ変わらない状況である。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①資格取得の促進高齢社員を含めた全社員に「基本情報処理技術者」をはじめとした資格取得手当を支給している。手当が支給される資格については、スキルシートに盛り込んでおり、社員が長期的な視点で取得計画を立てられるようにしている。②知識習得機会の提供エンジニアに必要なスキルは、担当する分野によって異なるが、基本的には、業務を通じて社員が自主的に知識を習得するよううながしている。会社は支援策として、社内ポータルサイトを活用した業務に直結するテーマの勉強会を開催している。ほとんどの勉強会に高齢社員が、講師または受講者として参加している。高齢社員が講師を行うメリットとしては、講師と受講者がともに社員のため、コミュニケーションが活発になり、業務への円滑な活用にもつながっている。また、社内ポータルサイトを活用することにより、リモートワークの社員も参加しやすい環境が整備されている。③対面コミュニケーションの強化同社では、「楽しくなければ仕事じゃない」を信念として、人の意見を否定するのではなく、真剣に向き合う職場づくりを目ざしている。このため、社長が週1回、本社、東京事業所、長野事業所の3事業所を訪問し、社員との信頼関係の構築・成長支援をうながすための1on1ミーティングを実施している。対面で話すことで、業務上の早期課題の発見、社員の感情や要望をくみ上げることが可能となり、モチベーションの向上にもつながっている。また、社内での呼称については、「社長」や「課長」などの役職は用いず、すべて「○○さん」でお互いを呼び合うこととしている。このため社内の上下関係が生まれにくく、若手社員や中途入社の社員にとっても意見がいいやすく、風通しのよいざっくばらんな雰囲気でお互いの自主性を尊重しあう企業風土が育っている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①作業環境・作業の改善オフィスの快適性を向上させるため、机は幅140cm(通常は120cm)のものを、いすは腰痛予防に配慮したものを全社的に配置。職場における目の負担を軽減させるため、適切な照明株式会社 マイネットシステム2025.1018社内では、高齢社員を含む幅広い世代の社員が机を並べて働いている
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