エルダー2025年10月号
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特集て適用した。4掃除機の軽量化をはじめ、使用機材の見直しにより、高齢社員の身体的負担を大幅に軽減した。安全で疲労の少ない作業を実現し、高齢社員はもちろん、全社員が長く働くことができる作業環境および作業方法を整えた。5 ビルクリーニング技能士などの資格取得費用を全額支給し、現場にメンターを配置して業務および健康面で相談体制を強化した。これにより、社員の自律的なキャリア形成を可能とした。Ⅱ企業の沿革・事業内容株式会社清風堂は1984(昭和59)年7月4日、北海道札幌市でビル・店舗・病院・オフィスなどの総合清掃管理サービスを主たる事業として創業した。誠実で確実な仕事により多くの顧客から信頼を得ている。事業内容は総合清掃管理を中核とし、環境衛生管理、設備保守管理、警備・施設管理業務、竣工美装工事など建物の維持管理にかかわる幅広い分野に展開している。清掃のプロフェッショナルとして、各種施設を快適な空間にリフレッシュし、安心・安全な環境づくりをサポートしている。創業から40年を迎え、ビルメンテナンス業界における人手不足と高齢化という業界全体の課題に直面しながらも、高齢社員の豊富な経験とノウハウを活かした競争力の維持・向上を図っている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方同社の高齢化の現状は著しく、2025年4月1日現在で全社員450人のうち約57%にあたる256人が65歳以上となっている。年齢構成は、60~64歳が51人(11・3%)、65~69歳が88人(19・6%)、70歳以上が168人(37・3%)となっており、特に70歳以上の社員が全体の3分の1を超える状況にある。現在の最高年齢者は84歳の清掃スタッフで、60代後半層の社員が事業の中核をになっている状況にある。社員の高齢化と人手不足は、ビルメンテナンス業界全体の課題となっており、どのように対応していくべきかが問われている。そんななかで、社員からは「高齢社員の経験やノウハウを活かして会社の競争力を維持・向上させたい」、「働くことにより長く健康を維持したい」といった要望が寄せられていた。そこで同社では、社員が健康状態を考慮した働き方を選択できるようにするとともに、体調が悪くなった際に、社員相互の支援体制を強化することにより、長く働き続けることができる職場環境づくりを推進。あわせて安全衛生管理を充実させることで、安全・安心に働くことができる職場環境を目ざしていくこととし、2021年4月の改正高年齢者雇用安定法施行をふまえ、2022年4月に継続雇用制度の大幅な見直しを実施した。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制度と継続雇用制度の見直し従来の制度は60歳定年、希望者全員65歳までの継続雇用としていたが、2022年に希望者全員70歳までの継続雇用制度を導入。さらに2024年1月には定年年齢を60歳から65歳に引き上げるとともに、70歳以降も社員本人の要望・適性・評価などに応じて、年齢上限なく継続雇用を可能とする仕組みとした。これらの制度改善により、社員の労働意欲の向上や仕事へのモチベーションが高まり、70代以上の清掃業務への応募が増えている。中途採用にも好影響が出ており、この数年で採用が大幅に増加した。②賃金制度と退職金制度の見直し2024年1月の定年年齢引上げにあわせ、エルダー21令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト株式会社清風堂

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