賃金規程と退職金規程についても見直しを行い、60歳から64歳までの期間について賞与支給の対象とするとともに、当該期間については退職金計算の対象期間に算入した。これには高齢社員だけではなく、若手・中堅社員からも好意的な意見が多くあがった。また、この見直しにあわせて、定年引上げ前に定年退職し身分が契約社員となっている社員については、社員の雇用継続の意思を個別に確認したうえで、定年引上げ後の正社員と同様、退職金計算の対象期間に算入する措置を講じている。③多様な勤務形態の導入2022年4月の継続雇用制度見直しにあわせ、「勤務時間の弾力化」を制度として導入した。具体的には、55歳以上の社員を対象に、体力の低下や健康状態を考慮して勤務時間弾力化の申請を行えば、短時間勤務のほか、夜間勤務の除外、勤務日数の調整、隔日勤務が可能となる。勤務時間の弾力化を行うことで、自分の働き方を自分で選択することが可能になり、安心して長く働くことができる職場環境が実現した。④私傷病休職制度の拡大2024年4月に、3カ月間の休職が認められる私傷病休職の適用範囲を「正社員のみ」から「全社員」に拡大した。正社員にかぎらず全社員が私傷病による治療のために退職を余儀なくされることがなくなり、職場復帰の機会が制度上保障されることとなった。また、年次有給休暇とは別に月1日(年12日)のライフサポート休暇(正社員のみ)を導入した。社員からは「通院や私事などによる平日の休暇がとりやすくなった」との声が聞かれ、好評を得ている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①資格取得支援制度の創設全社員が自律的にキャリア形成を進められるよう、2020年4月、ビルクリーニング技能士、清掃作業監督者、建築物環境衛生管理技術者、建築物清掃管理評価資格といった、業務に必要となる資格の取得にかかる経費(講習費用、テキスト代、試験費用)を全額支給するとともに、講習時や試験時を出勤扱いとする制度を創設した。この制度により、社員が自らの職業能力を向上させる意欲が高まり、資格取得にチャレンジする社員が毎年5~10人程度出るようになった。制度を活用して有期雇用のパート社員2人がビルクリーニング技能士の資格を取得し、無期雇用に転換することになった実績もある。②メンターの配置業務上の疑問や健康面の相談を気軽に行うことができるメンター(現場責任者)を7人配置し、日々、社員からの相談に応じている。社員は働き方の希望を現場のメンターに提出し、メンターとの対話により調整することで、双方のコミュニケーションが活発になった。希望を気兼ねなく相談できるようになったことで、ストレス要因の軽減にもつながっている。メンターは月1回、集合会議による意見交換を実施しており、相談時の注意点や傾聴時のポイントなどを共有することで、相談の質の向上を図っている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①清掃器具の改善高齢社員の身体的負担の軽減を図るため、従来、5~6㎏の重量があった掃除機を2~3㎏の軽量タイプに全面的に変更した。また、床の拭き掃除に使用するモップを従来型の糸モップからフラットモップに変更するなどの改善を行っている。フラットモップに変えたことで、モップの洗濯作業がなくなり、以前は洗って絞る作業をくり返し行うことで、指の関節にダメージを負う社員がいたが、現在はそのような症状を発症するケースはなくなった。②休憩室の設置現場作業時の顧客先での休憩スペース確保のため、現場責任者が休憩室などの設置や使用の許可に関する交渉に努めている。休憩スペースの確保により、社員の疲労回復やプライバシー株式会社 清風堂2025.1022軽量タイプの掃除機(上)やフラットモップ(下)を導入し負荷を軽減
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