エルダー2025年10月号
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特集②ダイバーシティと介護・仕事の両立国籍を問わずやる気のある人材を積極的に採用する方針であり、現在は2人の外国籍社員が在籍している。また、2022年までに育児介護休業規程を整備しており、介護と仕事の両立がしやすい環境整備を行っている。札幌市の「札幌SDGs企業登録制度」に登録し、多様な働き方の促進や環境問題を中心に取組みを行うなど地域貢献の活動も積極的に行っている。(5)高齢社員の声 三みつ井い勝かつ好よしさん(74歳)は、2018(平成30)年に入社し在籍6年。おもにマンションやテナントビルの清掃を担当している。「清掃をしてキレイになっていくのがうれしいですし、それがやりがいにつながっています。身体を動かすことが健康にもつながります」と話す。林はやし功よし修のぶさん(75歳)は、2010年に入社して在籍15年。マンションなどの巡回清掃を担当している。「体力や年齢にあわせて、仕事量や勤務時間を調整してもらえるので助かります」と話す。(6)今後の課題同社の職場改善の根本思想は、「高齢者が長く安全で安心して働き続けられるようにすること」である。高齢者は労災事故が多いといわれるが、労働災害にかぎらず、自宅などふだんの生活のなかで転倒してしまうこともある。私傷病休職の適用範囲を全社員に拡大した理由は、このようなケースでも安心して休んでもらえるよう配慮した結果である。今後は、「定年制の廃止、または継続雇用年齢の引上げ」についても検討をしていく方針。社員が安心してより長く働き続けられる制度をつねに模索し、地道な改善に努めていきたいとしている。高齢社員が持つ豊富な経験とノウハウを最大限に活用し、安全で働きやすい職場環境の継続的な改善を通じて、同社はさらなる高齢者雇用の推進に取り組んでいく。保護が図られるようになったほか、交渉の努力が社員に伝わることで、現場責任者との信頼関係が高まり、人間関係をより円滑にする効果も生まれている。③健康管理の強化2024年から特定健診の費用を会社が全額負担しているほか、健康管理の1次予防、2次予防の強化を目的に、人間ドック、脳ドック、心臓ドックのうち一つを会社が費用負担する制度を創設した。1回あたり4~5万円の費用負担を行っている。また、インフルエンザの予防接種率を高めるため費用の全額を会社負担とし、現場の事業担当者が社員への周知と日程調整を行っている。④安全衛生管理の充実年1回開催している安全衛生管理研修の内容(作業方法の注意点、心と体の健康管理の方法、感染症対策など)の充実を図っている。通勤時や作業時の転倒事故に対する注意喚起を徹底することができ、社員の安全衛生管理の知識と実践の向上につながっている。(4)その他の取組み①高齢者の積極的な採用70代の高齢者を積極的に採用しているほか、「札幌市就業サポートセンター」で行われている各種高齢者雇用の啓発活動に積極的に協力している。70歳超の新規採用者数は2021年の23人から、2024年には51人と大幅に増加している。エルダー23令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト林功修さん(75歳)三井勝好さん(74歳)

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