特集5 健康講習、熱中症対策、感染症予防など、健康管理体制の強化に努め、健康経営優良法人の認定を受けた。Ⅱ企業の沿革・事業内容同社は創業75年を誇る総合工事会社である。創業以来、管路更生工事や、建設プロジェクトに関する調査・研究・企画・設計など幅広い事業を展開してきた。ISOの認証取得や働きやすい職場づくりにも注力し、地域と顧客に評価される企業を目ざしてきた。「良い仕事が次の仕事を呼ぶ」という精神を大切にし、信頼と実績を積み重ねている。雇用管理に関する認証も数多く受けており、とりわけ仕事と子育てが両立できる職場づくりに取り組み、2007(平成19)年に「仕事と生活の調和」推進企業、2008年に「子育て応援」中小企業、2016年に「働く女性応援」中小企業などの認証を県より受けている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方本店を置く福島県東白川郡棚倉町は、人口減少と高齢化が進む地域で、事業継続を推進するには若年者の採用もさることながら、高齢従業員の活躍が不可欠であった。特に国家資格を有する高齢従業員の存在は、建設業における品質確保や受注維持に重要な役割を果たしていることに鑑み、高齢従業員が長期にわたり活躍できる職場環境の整備は喫緊の課題であった。2020年に就業規則を改定し、定年年齢と継続雇用制度の年齢上限の引上げを行い、高齢従業員が長期にわたり活躍できる職場環境の整備を進めた。現在、60歳以上の従業員数は78人、そのうち70代は19人、80代は2人で、最高年齢者の87歳の従業員はこれまでの経験を活かして経営相談や福島県内はもとより、さらに広域の情報収集において活躍している。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年年齢の引上げ2020年に60歳定年と希望者全員65歳までの継続雇用制度の年齢をそれぞれ5歳ずつ引き上げ、定年は65歳に、継続雇用は希望者全員70歳までとし、70歳以降も本人の健康状態と業務量により年齢上限なく再雇用している。同社には「高齢従業員には定年後も働けるかぎりは働き続けてほしい」という思いがある。同社の会長は、人生の目的・目標を持ち、社会に貢献することが元気で長生きする秘訣であり、「きょういく(教育≠今日、行くところ)」と「きょうよう(教養≠今日の用事)」を持つことを高齢従業員にすすめている。②賃金制度・人事評価制度定年後も安定した収入を確保できるように賃金制度を整備し、満60歳で肩書きは変わるものの、給与は同額を支給している。65歳で定年を迎えると、役職を外れスタッフ職となるが、基本給は定年前の約85%を維持し、引き続き月給制を採用している。70歳以降は日給制へ移行するが、国家資格手当は年齢にかかわりなく支給しており、高齢従業員の収入を安定させている。これにより高齢従業員の生活の安定を図るとともに、若手従業員が資格を取得する意欲の向上にもつながっている。また、高齢従業員のモチベーションの維持・向上のため、定年後も評価制度を導入しており、上司による評価結果を専務(2人)と常務の3人による確認を経て社長が最終判断し、賞与に反映している。評価には査定用シートを使用しているが、高齢従業員は時短勤務や勤務日数がエルダー25令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト藤田建設工業株式会社
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