特集21(令和3)年にはコロナ禍によって旅客運送の仕事が激減したため、食料品の輸送の仕事を始めるなど、つねに「次の一手」を考える事業を展開してきた。同年には「浜松市高齢者活躍宣言事業所認定」を取得、高齢従業員が働きやすい職場づくりにも取り組んでいる。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方従業員数は111人、そのうち60歳以上の従業員は90人で81%を占めている。さらに、定年年齢を70歳としているにもかかわらず、70歳以上の従業員が45人(41%)に達しており、いずれもタクシードライバーとして業務に従事している。同社では、70歳以上でも一定の条件を満たす場合には年齢上限を設けずに再雇用を行っており、経験と地域に対する深い理解を兼ね備えた高齢ドライバーは、重要な戦力として活躍している。また、同社のホームページでは他業種の会社の定年退職者の採用を意識した採用ページを設けており、実際に勤務している高齢従業員のインタビュー動画や職場の写真を通じて、年齢にかかわりなく働くことができる環境であることをアピールしている。こうした取組みによって、職場の雰囲気を感じてもらうことができ、同社への応募の動機形成にも一定の効果を上げ、優れた人材の確保に一役買っている。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①「積せき算さん歩合制」の導入従来採用していた「累るい進しん歩合制」に代わって、2022年から「積算歩合制」を導入した。累進歩合制は、一定の売上げ基準を超えると歩合率が急激に上昇する仕組みで、高い売上げを達成した際には大きな報酬が得られる反面、その基準に到達するために、無理な運転を行うことがあるなど、「制度の副作用」が課題となっていた。このため、ドライバーの健康や労働環境への配慮を重視しつつ、安定した収入を確保できることをねらいとして、売上げに応じてゆるやかに支給額が上昇する積算歩合制へ制度を見直した。この制度の見直しは、賃金に直結する制度改定であることから、従業員から納得感を得ることを重視し、浜松労働基準監督署などの外部機関とも連携しながら慎重に制度設計を進めた。その結果、「どの売上げ帯においても、従来と同等以上の支給額が確保される」点を中心に説明を行い、従業員の制度変更に対する理解と納得を得た。②柔軟な働き方の選択勤務時間や勤務日数を選択できる仕組みを導入しており、選択した勤務形態により、「歩合給」もしくは「固定給+歩合給」が適用される。さらに、タクシー車内の「休憩ボタン」を押すことで、好きな時間や好きな場所で休憩を取ることが可能であり、この休憩制度によって、家族との食事や通院、介護など、私生活との両立が可能になった。エルダー29令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト光タクシー株式会社の本社全景定年後の高齢者向けの採用情報の発信を強化
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