特集らず、すべての従業員にとっての働きやすい環境づくりに貢献している。(5)高齢従業員の声 Fさん(67歳)は新人の教育も担当している。「毎日、いろいろなお客さまからお話をうかがえてたいへん勉強になります。一いち期ご一いち会えの心を大切に乗務させてもらっています。新人教育の仕事ではその人ごとに運転技術や地理の習熟度、社会経験、性格が異なるので、どのような伝え方をすればよいのか試行錯誤の連続です。新人ドライバーが気軽に話や質問ができるようにフレンドリーな対応を心がけています。また、教育期間中は理解したと思っていたことが、いざ一人で現場に出てみると抜け落ちてしまっていることも多々あるので、教育期間終了後もコミュニケーションをとるようにして、教育したことの再確認を行っています。教育担当者である自分が与えるだけではなく、新人ドライバーそれぞれの人生経験、職業経験から来る知識や、新人ならではの視点を知ることができてとても楽しいです」坪つぼ井い勇いさむさん(82歳)は前職でもタクシー会社に勤務しており、光タクシーには77歳のときに入社した。「タクシーは、自分が動いた分、考えた分だけ売上げが生まれ、また、その売上げが給与に反映される仕事なので、自分の性分に合っている仕事だと思います。以前の会社で車いすに乗ったまま乗降ができるタクシーの乗務経験があり、また、障害のあるお客さまに対応するためのタクシードライバーの研修を修了していたので、パート乗務員として入社したにもかかわらず障害のあるお客さまが利用するタクシーの担当にしてもらいました。ここでの仕事が人生最後の仕事になると気を引き締めて、事故を起こさないよう、しっかりとやり遂げたいと思っています」(6)今後の課題営業車の駐車場の路面に凸凹が生じているので、ドライバーの転倒災害を防止するために整地をし、支柱が多い古いタイプの駐車場の屋根を支柱が少ないタイプに入れ替えて、駐車時の支柱への接触事故の防止へつなげていきたいと考えている。一方で、労働契約書などの電子化に向けた検討を進めている。高齢で電子的なものが苦手な人には、タブレットなどを使ってていねいにレクチャーを行い、デジタル機器に対する苦手意識を払拭してもらう方針だ。デジタル機器に対する苦手意識の克服を足がかりにして、地域の足として貢献し、地域とともに歩む同社ならではの未来図に向かって、全社一丸となったチャレンジが始まる。の一環として、2022年より「病気入院保障制度」を導入している。対象は、正規および一定の労働時間を超えるパート従業員であり、入院時に発生する医療費の自己負担分および食事代などが補償される。加入対象者に上限年齢が設けられていないことに加えて、入社から1年が経過した従業員については、既往症による入院も補償対象となるため、就労継続への支えとなっている。毎年数名の従業員が病気により入院している現状を見てきた社長の「従業員の助けになれば」という思いが、形となって導入された。この制度は、同業他社ではあまり例がなく、同社の特徴的な取組みである。 また、そのほかの健康管理の取組みとして、有給休暇取得の奨励(取得率95%)、年に一度の面談による働き方の選択、インフルエンザ予防接種の費用を補助する制度など、高齢従業員の健康に配慮している。(4)その他の取組み地域の脱炭素化と環境負荷の軽減を目的として、EV(電気自動車)タクシーを導入した。EVは排出ガスがなく、静音性に優れているため、乗客にとって快適な乗車環境を提供できるほか、ドライバーにとっても長時間の運転による疲労軽減につながっている。また、EVは給油所まで出向く必要がなく、営業所で充電が可能なため、運転業務の負担軽減にも寄与しており、高齢のドライバーにかぎエルダー31令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト高齢従業員の坪井勇さん(82歳)
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