エルダー2025年10月号
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エルダー45と区切り」との思いとやりたいことに挑戦したい気持ちから退職を選択。念願の書道教室に通い始めて定年後の生活をスタートさせました。それから1年が経ったころ、たまたま同グループの介護施設「高岡あいの風」を訪れたときに、「また働いてくれませんか」と以前の同僚から声をかけられたことがきっかけで、66歳で高岡あいの風に再就職しました。それから今年で3年になります。「必要としてもらえるなら、だれかの力になれるならまた働いてみたい、という気持ちになりました。ただ、気負わずにいこうと思いましたし、職場からも『何日くらい勤務できますか』と気軽に希望を聞いていただけて、おかげで再就職の道は思いのほか軽やかに踏み出すことができました」(片山さん)働き方は、週1日から始めて徐々に増やし、現在は午前のみ週3~4日勤務して、高岡あいの風のグループホームに入居する方々の医療的ケアをにない、介護スタッフと連携して入居者の健康管理を行っています。職場で片山さんが大切にしていることは、自分から率先して「思いやり」の行動をすること。自らの役割は、「経験で得た知識を伝えて、若い人たちにがんばってもらえる環境を、さりげなくつくること」と話します。そして、「75歳までは!」働き続けたいという目標を語り、「その先はまた考えます」と笑顔で話してくれました。「ケアホーム国くに吉よしあいの風」で調理と介護補助を担当する鳥とり内うち栄えい子こさん(77歳)は、介護職以外の仕事先を定年まで勤めた後、61歳のときにあいの風に入職。「以前から料理をすることが好きで、娘の友人から声をかけていただきました」と入職のきっかけを話します。それから16年、鳥内さんはケアホームに入居する一人ひとりに合わせた、きざみ食などの調理と利用者の様子を見守る役割をにない元気に勤務を続けています。大切にしていることは、「利用者さまとのコミュニケーションと自分の体調管理です。利用者さまの元気な顔を見ると、自分もがんばろうと思います」と鳥内さん。そして、「これからも元気に、この仕事を続けていきたい」と語ってくれました。辞めたいと思う人がいない職場長く働いていたいと思う職場づくりこれからの職場づくりについて堀常務取締役は、「たいへんなこともありますが、誠実に取り組んでいる職員の様子にふれて胸を打たれることがあります。これから目ざしたいのは、“辞めたいと思う人がいない職場づくり”です。そのためにも、一人ひとりの職員に対して今後もきめ細かな対応を続けていきます」と話します。岩城さんは、「長く働きたいと思える職場の土台づくりに向けてまだまだやれることはあると思います。選ばれる職場、入った人が『よかった』と思える職場を目ざしてがんばります」と人事担当としての思いを言葉にしました。赤川プランナーは今回の訪問を通して、「さまざまなお話をうかがって、人を大切にすることを中心にして事業を運営されていることが、あらためて伝わってきました。はつらつと働く高齢職員のみなさんの姿が印象的です」と語り、今後も支援をしていくと表明し、さっそく高齢者雇用に関する給付金・助成金の説明をしていました。2年後には設立20周年を迎える福祉コミュニティあいの風。今後も多くの世代の職員が各職場で活き活きと働いていくことでしょう。(取材・増山美智子)高岡あいの風グループホームにて入居者の方とおだやかに話をしながら健康状態をチェックする片山四支子さん

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