エルダー3ティストを多く抱える会社も増えていますし、日本の大手IT企業では社内のエンジニアを活用しているケースもあります。そうしたなかで、人事部の役割は、“生成AIを活用して、社員一人ひとりの生産性や働き方をどう変えていくのか”という、これまで蓄積してきた人事のノウハウを活かした戦略的なものにシフトしていくのではないでしょうか。人事部門にとどまるのではなく、各部門・ビジネス領域に入り込み、一人ひとりがどのように働き、キャリアをどのように形成していくのか。人事パーソンには、プロスポーツ選手のコーチのように人に寄り添った仕事にシフトしていくことが求められますし、逆にシフトできなければ人事パーソンとして生き残っていくのはむずかしくなると思います。―人事担当者の能力や求められる役割も変わるということですね。岩本 大量の従業員を一人ひとり見ていくには、データの力を借りないとむずかしいでしょう。データを参考に一人ひとりを見て、データで補えないところをサポートすることになります。大学の学部に「人間科学部」というのがありますが、人事担当者は人間科学の専門家にならないといけません。データを駆使するサイエンティストとして、社員一人ひとりを観察し、サポートする能力が求められてくると思います。―中小企業が成長・発展していくために、HRテクノロジーを活用していくポイントとは何でしょうか。岩本 HRテクノロジーのツールは山ほどありますが、何より大事なのは、いま、自社のビジネスがどういう状況にあり、どうしていきたいのかという中長期的な成長の方向性を明確にすることです。そのためには従業員一人ひとりが活躍できる環境をつくることが大切です。中小企業の社長が、「うちの社員は全員まじめで指示通りに仕事をしてくれます」と話すのを耳にすることがあります。昔は下請け仕事が多く、それが機能しているうちはよいボットを活用しているところもあります。―HRテクノロジーの進化・発達は、人事領域の業務を大きく効率化させますが、同時に人事部門の役割も変わっていくのでしょうか。岩本 本当の意味で人に寄り添った仕事にシフトしていくのではないでしょうか。これまで自分のパソコンでエクセルなどを使って行っていた仕事は、すべてテクノロジーに置き換わります。一方で外資系企業では、「ピープルアナリティクス」という部門を立ち上げ、人事領域のデータ分析を行うデータサイエン人事パーソンに求められる役割はデータを駆使し一人ひとりに寄り添うこと
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