エルダー2025年10月号
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 定年退職後を見すえて、あるいは「生涯現役」に向けて、さまざまな資格の取得にチャ 定年退職後を見すえて、あるいは「生涯現役」に向けて、さまざまな資格の取得にチャレンジするミドル・シニアの方々が増えています。“学び直し”について、科学的な見地かレンジするミドル・シニアの方々が増えています。“学び直し”について、科学的な見地から解説する本連載の5回目は、「資格取得のための計画的な学び方」をテーマに、1万人のら解説する本連載の5回目は、「資格取得のための計画的な学び方」をテーマに、1万人の脳を診断した脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生に、「大人脳」の特徴を活かした試験合格脳を診断した脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生に、「大人脳」の特徴を活かした試験合格法などについて、解説していただきます。法などについて、解説していただきます。資格取得のための計画的な学び方株式会社脳の学校 代表/加藤プラチナクリニック 院長 加か藤とう俊とし徳のり第5回2025.1054「資格取得」で新しい学び「資格取得」で新しい学び認知症予防にも効果認知症予防にも効果ミドル・シニアの方々が資格取得を目ざし、新しい学びを始めるということは、脳にとっても大きなプラスになります。例えば語学。新しい言葉は左脳を刺激し、認知症の予防にもとても効果的です。さらに、学びによって人間関係が広がるということも、たいへん重要だと私は思っています。ミドル・シニアにとって「孤立しない」ということは、きわめて大切なポイントになるのです。私自身も50代から、それまでは行ったことがなかった国際学会に参加するようになり、大きな衝撃を受けました。例えば最近では、睡眠、アルツハイマー病、ADHD(注意欠如・多動症)に関する三つの国際学会に行っていますが、各学会とも集まる人や組織、それぞれに目的としていることが異なるので、目ざす思想やアプローチも大きく違っています。そこに大きな発見があり、ものすごくおもしろいのです。年を重ねれば重ねるほど、新しい学び、新しい人間関係から刺激を受けるべきだと思いますし、そうすることで人生の価値も高まっていくのだと思います。「運動系脳番地」で脳を活性化「運動系脳番地」で脳を活性化明確な「行動計画」がポイント明確な「行動計画」がポイント前回※でも説明しましたが、脳には、機能ごとに分類した八つの脳番地があります。資格取得のための勉強を始めようとするのなら、まずは「運動系脳番地」を意識するのが効果的です。運動系脳番地は、手・足・口など、体を動かすこと全般にかかわる部分で、ほかの脳番地を発火させるトリガー(引き金)的な機能があります。脳の中で長期記憶をになう海馬ともつながりやすいため、記憶向上のためには、運動系脳番地は欠かせません。運動系脳番地は、運動をすることで機能しますが、それ以外でも「行動計画」を立てることで活性化するという特徴があります。運動系脳番地は、「運動企画」という分野が大きな領域を占めており、この領域はスケジュールを組んだり、計画を立てたりすることで働くのです。また脳は、時間軸がはっきりしていると働きやすくなります。逆に、スケジュールがざっくりであればあるほど、脳は動き出しません。資格試験合格を目ざす場合は、自分の「持ち時間」を明確にするところから始めるのが効果的で、試験日が決まっている場合はまず、勉強にどの※ 本連載の第4回(2025年9月号)は、当機構(JEED)ホームページからもお読みいただけます。 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/book/elder_202509/index.html#page=48

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