エルダー2025年11月号
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特集受入れは、一方的に紹介を受けるだけでなく、事業運営上必要なスキルや経験を同社からオファーし、適した人を積極的に採用している。再就職援助計画の対象者の紹介も受けており、最近は50歳以降の地域の中高年者を積極的に受け入れている。②ピークタイムを避けた出勤時間所定の就業時間は、始業9時、終業17時30分としており、ほかの製造業の事業所の一般的な始業時刻より30分から1時間ほど遅いため、通勤時の渋滞に巻き込まれず、「時間に余裕をもって出勤できる」と社員から好評である。③サンクスギフトの導入社員同士が気軽に感謝の気持ちを伝えられる環境づくりとして、「サンクスギフト」を導入している。これは、感謝の気持ちを簡単に送り合える社内SNSサービスで、感謝の気持ちが可視化され、受け取った人だけでなく周囲の社員もやりとりを共有できる。若手社員と高齢社員のやりとりもあり、世代を超えたコミュニケーションの活性化や社内全体の雰囲気向上につながっている。(5)高齢社員の声 三み品しな実みのるさん(69歳)は、前職を定年退職した後の再就職で、産業雇用安定センターを通じて入社して7年。ものづくり一筋の職業人生でつちかった技術と経験を、機械組立チームのリーダーとして、また若手社員の育成に活かし、フルタイム勤務を続けている。現在、新卒で入社した新人の育成をになっており、「成長していく姿をみられることがうれしいです」とやりがいを語る。さらに、「新入社員が技能検定を受けられるような環境をつくっていきたい」と今後の目標を話す。尾お形がた正まさ泰やすさん(72歳)も前職を定年退職後の再就職で、67歳のときに入社。品質管理のスペシャリストとして、知識や経験を活かしてISO認証取得を主導し、品質管理責任者として業務を遂行しつつ、社内監査員の育成研修も手がける。品質管理の仕事にやりがいを感じており、「身体が続くかぎり勤務していたい」と話す。現在、週3日の勤務で負担を感じることなく継続できているという。「週の勤務日数や曜日が選択できますし、始業が9時で、一般的な会社よりゆっくり出勤できるのもよいです」と語る。(6)今後の課題制度改定や職場環境の改善は、働くことに意欲的な高齢社員のモチベーションをさらに高めており、種たね澤さわ直なお樹き社長は「高齢社員は、自分の持っているものを若手社員に伝えたい、なんでも聞いてほしい、という姿勢で元気に仕事をしています。そうした思いに若手社員は応えていて、お互いにサポートし合う、よい風土ができてきたと思います」と社内の雰囲気を語る。社長自らも社員を家族のように思い、気さくに接してコミュニケーションを大事にしている。現在新たな工場の建設を計画しており、地域雇用の拡大を進めながら、地域とともにさらなる成長を目ざしている。創業以来、労働災害ゼロを継続しており、今後も安全衛生管理に注力しつつ、すべての世代にとって働きやすく、意欲があれば何歳まででも働ける職場環境の実現に向けて、種澤社長は「人を大事にすることを基本として、時代に合った制度を順次整備し、よりよい職場づくりを推進していきます」と力強く語る。エルダー11令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト経験を活かして品質管理部門で活躍する尾形正泰さん(72歳)若手社員にFA設備の組立てを指導する三品実さん(69歳)(左)

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