特集Ⅱ企業の沿革・事業内容社会福祉法人光風会は1980年7月に設立、翌1981年4月に酒田市内では初の特別養護老人ホーム芙ふ蓉よう荘そうを開設した。その後、1987年に酒田市内初の障害者支援施設光風園、1991(平成3)年に介護老人保健施設シェ・モワを開設するなど、地域のニーズに応えながら福祉事業を拡大してきた。現在は、高齢者・障害者福祉に関連した22の事業を展開している。また、地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネットのメンバーとして、地域包括ケアや地域共生の推進にたずさわり、専門職による出前講座などの公益的活動や福祉避難所開設といった社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方同法人では、職員数283人のうち60歳以上の職員が82人で全体の約3割を占めており、事業推進の貴重な戦力として活躍している。近年は、学卒者などの若年層の採用が減少している状況が続いているほか、職員の高齢化が進むなかで、制度の運用や職場環境の改善に取り組み、定年後の再雇用の職員はもちろん、シニア人材の採用にも取り組んでおり、高齢職員が安心して働き続けることができる職場環境を実現している。また、高齢職員が長年の職業人生のなかでつちかってきた知識や経験の確実な伝承を行い、若手職員のレベルアップを図ることを重要な目的としている。これらの取組みの推進にあたっては、職員の声を聞きながら段階的に制度改定を行い、運用面での柔軟性も重視している。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制および継続雇用制度の改善以前の制度では、正規職員、専任職員、パート職員いずれも定年60歳、65歳までの継続雇用だったが、2019(令和元)年に65歳定年制を導入するとともに、一部職種(業務員、グループホーム世話人)については、希望者全員70歳までの継続雇用とした。制度改定後は、職種にかかわらず65歳定年後も、運用により希望者を継続雇用していたため、実態に即して2025年に嘱託就業規則を改正し、すべての職種で希望者全員70歳まで、さらに一定条件のもと、年齢上限なく継続雇用することとした。また、地域の高齢者を積極的に採用しており、直近3年間で17人を採用。豊富な社会経験や専門知識を活かし、利用者対応や若手職員の育成に貢献している。②評価・賃金制度の改善従来の60歳定年制では55歳で昇給停止となっていたが、65歳定年の導入にともない、昇給は60歳まで継続し、60歳到達時の給与額が65歳の定年まで維持される。正規職員については、60歳以降も従前の人事考課制度を適用し、賞与に反映する仕組みとしている。専任職員に対しても、目標設定や成果に基づく評価を行い、賞与に反映している。65歳定年後は、本人の意欲や能力をふまえて嘱託職員として継続雇用し、基本給は定年前と同程度に設定し、手当や賞与は業務内容や働き方に応じて支給している。60歳以降も評価制度が継続されることで、職員の意欲や業務の質が向上しており、65歳以降の職員の仕事に臨む姿勢は、若手職員のお手本となっている。エルダー13令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト社会福祉法人光風会
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