エルダー2025年11月号
17/68

特集を適用できるよう就業規則を改正した。コロナウイルスやインフルエンザに感染しても有給で休めることが、職員の安心感につながっている。(4)その他の取組み①高齢者の新規採用地域で定年を迎えた高齢者を、職歴や業種を問わず幅広く受け入れ、直近3年間で17人を採用した。入社後は各々がこれまでの社会経験を十二分に活かして利用者や職員と接している。高齢職員の採用を増やしたことにより、もともと働いている現場スタッフにとっては、深い知見と経験から学ぶことも増え、職場で頼りにされる存在となっている。一方、同業から転職した高齢職員もおり、長年にわたり現場でつちかった専門的な知識と実践的なスキルを活かし、後進への指導や改善提案ができる存在として活躍している。その豊かな経験は、現場力の強化やサービスの質の向上に大きく貢献している。(5)高齢職員の声 Aさん(67歳)は、勤続38年。「65歳定年後も、健康であれば継続して働きたいと思っていました。転職をすると新たに人間関係を構築する必要もあるため、同じ職場で仕事を続けることができてありがたいです。有給休暇(2時間単位の時間休含む)が取りやすく通院などに利用しています」と話す。Bさん(72歳)は、一度退職した後、再就職し約6年が経つ。「利用者から感謝されることや、利用者から業務を通して、逆にパワーと元気をもらっており、それがモチベーションとなっています。また、周りのスタッフから助けてもらっているため、働きやすく感謝しています」と語る。入職13年目のCさん(66歳)は、障害者支援施設で利用者の生活支援を担当している。「仕事だけではなく、家の用事、孫の世話、趣味のテニスなど、やることがたくさんあるので、柔軟に働けるのはとてもありがたいですね」と話す。(6)今後の課題運営する施設では、清掃や洗濯などは業務委託しているが、年々委託費が高騰し、経常利益も減少傾向にあるため、コストに見合う成果の検証が必要になっている。今後も高齢者雇用や障害者雇用を拡大し、人員の確保の可能性を広げながら社会の要請に応えていく考えだ。また、かぎられた人員で最良のサービスを行うために、現在、部分的に導入している見守りセンサーなどの機器整備の拡大を図り、効率的で効果的なサービスを行い、職員の身体的、精神的負担の軽減を図りながら、できるかぎり長期間働き続けられる環境整備を行っていく計画である。創立45周年を迎え、津波や河川洪水などの災害リスクのある老朽施設の移転や建替えを進め、安心・安全・快適な環境整備とともに、サービスの質向上を重視している。職員の人材育成に力を入れ、自ら考え学び実践する力を育てており、今後も高齢職員が活躍できる職場づくりを推進していく方針である。エルダー15令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト勤続38年の高齢職員Aさん(67歳)利用者の生活支援業務をになう高齢職員Cさん(66歳)再就職して6年の高齢職員Bさん(72歳)

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る