エルダー2025年11月号
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特集Ⅱ企業の沿革・事業内容大河津建設株式会社は1975年、新潟県長岡市に設立された。設立当時は土木工事の下請け工事が多かったが、事業を徐々に拡大。現在は燕市に本社を置き、元請会社として、信濃川の水害を防ぎ、越後平野を水害から守るために建設された大河津分水路の維持管理工事のほか、道路、農業施設といった各種のインフラ整備も行うようになっただけでなく、同じ地域で創業100年の歴史を持つ建設会社・株式会社氏田組を傘下に収めるまでとなった。事業の9割以上を国土交通省・新潟県・燕市などからの公共工事が占めている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方社員数は、土木技術者、土木作業員、本社の事務を合わせて30人。うち60~64歳は2人でいずれも現場作業員、65~69歳は3人で1人が現場作業員、2人が現場監督をそれぞれ務めている。70歳以上は1人、76歳の最高年齢者で工事の管理業務などをになっている。建設業はもともと人手不足なうえ、公共工事の受注となると1級土木施工管理士などの有資格者の確保が必須で、人材確保は大きな課題となっている。ベテランで実績のある高齢社員には、できるだけ長く勤めてもらえるよう、処遇改善を含めた環境づくりに取り組んできた。現在働いている高齢社員の活躍推進に加え、シニア層の転職者も積極的に受け入れている。2025(令和7)年度は9月時点で、すでに65歳以上の人材1人を採用。さらに、71歳の土木施工管理の人材を採用予定で、本人が直接来社し、「働きたい」とアピールしたことがきっかけだという。資格、経験を有し、意欲のある高齢者に対しては、年齢にかかわらず門戸を開いている。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①70歳へ定年年齢の引上げ2018年、定年を60歳から70歳に引き上げた。当時は、豊富な経験と知識があるベテラン社員の多くが定年の時期を迎えつつあり、このまま60歳定年で退職されてしまうと、人手不足のため受注がむずかしくなることが懸念される状況だった。人材確保と、長年会社を支えてきた高齢社員の経験や知識を会社の今後の継続的な発展に活かすことを目的に、70歳への定年引上げに踏み切った。②希望者全員75歳までの継続雇用制度定年後の継続雇用については、70歳以上で本人が希望すれば、75歳まで1年更新で再雇用契約が可能になるよう就業規則に定めている。さらに75歳以降も年齢上限なく、会社が必要と認め、本人が希望すれば、1年更新で雇用を延長できることとしている。③給与・昇給・賞与などの処遇を維持定年や再雇用制度の変更にあわせて、処遇の改善も行った。賃金は職務や役職に応じて決定し、諸手当には工事現場に出た場合の「現場管エルダー17令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト大河津建設株式会社(関連会社・氏田組と同一建物内)

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