理手当」などがあるが、70歳の定年以降も職務や役職、勤務の内容に応じて、従来通りの基本給、手当を支給し続けることとした。昇給は年に1回、6月に行っているが、就業を継続しているかぎりは、年齢を問わず昇給を実施。処遇を充実させることで、シニア層のモチベーション維持にもつなげたい考えだ。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①建設ディレクター制度導入による負担軽減「建設ディレクター」とは、工事施工に関するデータの整理・処理、施工関連の書類の作成、ICT業務を主として行う新たな職域。バックオフィスから建設の現場をサポートすることで、現場の負担軽減につなげられると、建設業界でも注目されており、民間資格も設けられている。数年前から、建設ディレクター制度を導入するための取組みを始め、20~40代のITスキルのある女性を3人採用。現在は、おもに施工関連の書類作成で、現場のサポートを行っており、「負担が減る」と、特にシニア層の社員から好評だ。建設ディレクター制度による採用を増やすことで、人件費は増加するが、負担軽減により、ベテラン社員が専門性の高い仕事に集中することができる効果は大きい。②資格取得の支援社員のスキルアップやキャリアアップを目的として、「キャリアアップ支援制度」を設けている。この制度では、建設ディレクターの資格取得に向けた指導・育成も実施。高齢社員を含む現場作業者の負担軽減に資する人材の育成を目ざしている。また、土木施工管理士、建築施工管理士など、会社業務に必要な資格取得支援も積極的に展開。年齢を問わず、チャレンジする社員には、必要な費用を全額負担している。「会社に有益な資格はどんどん取ってほしい」と熊くま谷がい祐ゆう治じ社長。熊谷社長によれば、72歳の取締役会長も自ら率先してチャレンジを続けており、最近では「高所作業車」の資格を取得するなど多くの資格を取得しているそうだ。(3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①ICTや最新機器の活用ICTや最新機器の導入により、工事現場での安全確保、省力化で、高齢社員が働きやすい環境の整備を進めている。・測量専用タブレットを使用した3Dスキャナーを導入。構造物をつくる位置を特定するための測量は、従来2人1組のペアで行わなければならなかったが、3D測量により1人で行えるようになり、省力化につながった。立ち入りが困難な地域や危険箇所でのデータ取得も可能になった。・草刈り河川の維持管理の作業の一つに、堤防の草刈りがある。従来は勾配がきつかったり、複雑な場所は人力で行ってきたが、2024年度に小型の機械を導入。傾斜角度が40度程度までのところは機械で除草が可能になり、危険や負担の軽減につながっている。②健康診断などの充実法定の一般健康診断は、健診機関に本社社屋に来てもらい、社員が受診しやすいようにしている。さらに希望者には、人間ドックの受診費用の一部を補助している。健康維持への意識を高めるため、社員向けの講座なども実施。昨年度は、保険会社から提案を受け、「血管年齢測定会」を行っている。③安全衛生大会の開催年に1回、関連会社の株式会社氏田組と合同で、安全衛生大会を開催している。作業の安全や労働災害の防止の取組みとともに、衛生に関する講座を実施する内容だ。昨年は、スポーツジムを運営する会社から講師に来てもらい、体力維持のためのエクササイズを行った。④熱中症対策近年の夏の酷暑に対応し、熱中症対策にも力を入れている。・軽量ライフジャケットの導入河川維持管理工事などでの河川近傍作業では、落水の危険から身を守るためライフジャ大河津建設 株式会社2025.1118
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