エルダー2025年11月号
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特集ケットの着用が必要となる。暑さ対策として、従来のものより涼しく軽量でコンパクトなライフジャケットを導入した。⑤「週休2日」の確保北陸ブロックの国、県、代表市町村、特殊法人等で構成される「北陸ブロック発注者協議会」では2024年6月から、建設業の働き方改革を進めるため、発注者と受注者の双方が宣言し、週休2日の確保を目ざす取組みをスタートさせた。こうした状況もふまえ、作業現場では完全週休2日制を実現させている。そのほか、さまざまなツールの導入により効率化を図るなどで、残業時間の削減、有給休暇の取得にも取り組んでいる。前期では「月平均残業時間4・7時間」、「年間有給休暇取得日数16・5日」を達成した。(4)高齢社員の声土木統括部長として現場トップの役割をになう畔あぜ上がみ徹とおるさん(68歳)。公共工事などの減少で、勤めていた建設会社が自主廃業したことを受け、50歳のときに入社した。土木工事に長年たずさわり、豊富な経験を持ち、1級土木施工管理士の資格を有するベテランとして、公共工事の受注にも欠かせない存在だ。畔上さんが現在担当しているのは、土木工事全体のマネジメント。工期の管理や職人の管理で、現場監督の役割をになっている。「デスクに座ってできる仕事と現場と半分ぐらいです」といい、現場での作業も少なくないそうだ。一方で畔上さんは、そういった「体を動かす仕事」が元気の源になっているそうで、「現場を歩くのが運動の一つ。朝7時に家を出て、帰宅は17~18時ごろです。機械と同じで、仕事に行って規則正しく体を動かし、家に帰って食事をしたりお酒を飲んだりして心と体の栄養を補給する。そのくり返しが健康維持につながります」と話す。当面の目標は「70歳まで働くこと」。一方で、「動けるうちは、仕事に就かせてもらっているのが一番です」ともいい、働き続けることへの意欲も滲にじませていた。(5)今後の課題 公共工事を受注し、作業が行われている間は、工事管理業務を行う現場監督も現場作業員も、基本的に工事現場に常駐しなければならない。そのため、現場作業にたずさわる社員の場合は、短日・短時間勤務など柔軟な働き方を導入するのはむずかしいのが実情で、制約があるなか、高齢社員でも働きやすい環境をいかにして整えていくのかが課題になる。熊谷社長は、「建設ディレクターの取組みなどを拡大し、有形無形の負担軽減を進めたい」との考えで、工夫を凝らした働き方改革を進めていく方向だ。人手不足の深刻化が予想されるなか、さらなる高齢者の新規採用も視野に入れている。ただし、熊谷社長によると、高齢者の新規採用に関しては採用してもすぐに現場監督として働くことができないため、「少し動きづらい」面があるとのこと。こうした制約のもと、高齢者のなかから、いかにして人材を発掘するかも課題だという。高齢社員が働きやすい環境を整えながら、その知識や技術、経験を活かし戦力として活用する同社の活躍に、今後も期待が集まる。エルダー19令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト熊谷祐治社長(左)と畔上徹さん(68歳・右)

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