特集業所を創設し、60歳以上の職員9人がマンツーマン支援のヘルパー業務で活躍。高齢職員の活躍の場を大幅に拡大した。Ⅱ企業の沿革・事業内容特定非営利活動法人こぐまくらぶは、2002年11月に設立された。理事長の松まつ本もと将しょう八はちさんが2012年に就任して以降、地域ニーズや職員の声、保護者の声を吸い上げ、それらを参考に事業を多角化してきた。現在、就労継続支援B型、生活介護、共同生活援助、計画相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービスといった障害福祉サービス事業所を9カ所で運営している。2017年度からは職員が働きやすい環境を整備するため、企業主導型保育園を3園開設した。職員は優先的に子どもを預けることができ、2025年度は約50人の園児が通園している。同法人の特徴は、利用者や地域のニーズに合わせたきめ細かなサービスの提供である。喫茶店やお好み焼き店の運営、グループホームの設置など、障がいのある人たちの自立支援と社会参画を多方面から支援している。さらに、社会貢献活動として、子ども食堂なども積極的に行っている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方障害福祉サービス業界では人材不足が顕著で、既存職員の高齢化も進んでおり、同法人においては、60歳以上が全体の約20%に達している。松本理事長は、職員の高齢化が進むなかで、年齢を意識することなく職員が長く働き続けられる環境を模索していた。同時に、「高齢者」という言葉に違和感を感じており、年齢にとらわれず個人の能力と意欲を重視して活躍してほしいという思いを抱いていた。そこで、高齢になっても長年の勤務でつちかった技術・技能を活かして働き続けられる職場の実現を目標に掲げ、そのために、それぞれの生活や身体能力に合わせた柔軟な雇用形態での継続雇用を行い、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる組織を目ざすことを基本方針とした。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制と継続雇用制度の大幅な拡充60歳定年および65歳までの継続雇用制度を設けていたが、2022年2月に定年年齢を65歳に引き上げた。また、65歳以降も勤務を希望する職員に対して、健康状態などの一定基準を満たす場合、最長75歳まで嘱託社員として継続雇用する制度を就業規則で定めている。さらに75歳以降も本人の希望と健康状態を考慮のうえ、運用により年齢上限なく継続雇用することが可能となっており、高齢職員が長く安心して働き続けることができ、その能力を十分に発揮できる職場環境を実現した。②柔軟な勤務形態の導入職員を対象とした意識調査の結果をふまえ、2018年にノー残業デーを、2021年に短時間正職員制度を導入。その後、1日8時間、週40時間だった勤務時間を、週32時間に変更した。これにより、高齢職員だけでなく、子育てや介護などさまざまな事情を持つ職員がライフスタイルに合わせて多様な勤務形態で働けるようになった。上司と相談のうえ、勤務時間の増減にも柔軟に対応しており、ワーク・ライフ・バランスをとりやすい環境となっている。エルダー25令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト特定非営利活動法人こぐまくらぶ
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