③賃金制度・人事評価制度の改善年齢や勤続年数よりも知識や技術・能力、人事評価を基準とした賃金テーブルを作成し、高齢職員でも能力を発揮すれば賃金が上がるキャリアパスを提示している。年1回の自己評価と上司評価によるフィードバックも行われ、職員のモチベーション向上につながっている。また、2022年3月からはパートタイム職員に対しても年3回(3月・6月・12月)の賞与支給制度を導入した。65歳定年後も賞与を受け取ることができるようになり、対象のパート職員の意欲向上につながっている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①教育訓練と資格取得支援の充実2020年から資格支援制度を充実させている。年齢にかかわらず原則週3日以上の勤務者を対象としており、資格手当の支給のほか、実務者研修・初任者研修の半額負担、国家資格の合格祝い金(10万円)支給、通信制学校への学習応援手当などを行っている。特に移動支援従業者(ガイドヘルパー)資格は全額負担としており、70代の職員も受講している。職員の賃金やキャリアアップだけでなく、学びの風土が醸成され、高齢職員の学習意欲も非常に高い。②リスキリングとOJT研修の強化無資格・未経験者も積極的に採用し、障がい福祉分野の専門的研修、役職ごとの研修、安全運転研修、コミュニケーション研修など、年間計画に基づき研修に力を入れている。2023年からは、全職員がスキルマップをもとに目標を立て、小グループで面談を行い、フィードバックを受ける仕組みを整備。65歳以上の高齢職員が社内研修の講師を務めるなど、知識や経験の継承も進んでいる。③モチベーション向上と職場風土改善2019年には職員同士が互いを認め合い、ほめ合うことに重点を置いた人事評価システム「CIMOS」を導入した。「笑顔が素敵だった人」、「専門的な知識を持っている人」、「今輝いている人」などの項目で職員が互いに投票し、上位者が表彰される仕組みである。このシステムでは、年齢や雇用形態、役職に関係なく、職員のよい点が見える化され、評価された職員の働きがいやモチベーション向上につながっている。60歳以上の職員も多くの票を獲得しており、職場の一体感醸成に役立っている。④新職場の創設と経験の活用高齢職員を含めた新たな活躍の場として、利用者の社会生活に必要な外出支援サービスを行う一般社団法人こぐまsecondヘルパー事業所を2023年1月に創設した。これにより、法人でつちかった経験を活かしたヘルパー業務に従事する機会が高齢職員に提供され、60歳以上の9人がヘルパーとして活躍している。ヘルパー業務は1対1のマンツーマン支援が主であり、集団支援がむずかしい高齢職員にも働きやすい環境となっている。(3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①作業環境の改善利用者だけでなく高齢職員の転倒防止のため、生活介護や就労継続支援B型事業所では、バリアフリー化や段差の解消、スロープの設置、ユニバーサルデザインの導入を進めている。これにより、職員が転倒するリスクが減少した。②健康管理とメンタルヘルス対策の強化毎月、虐待防止チェックやメンタルヘルスチェック(職業性ストレス簡易調査票)を実施しているほか、業務で車を運転する職員には運転チェックシートも毎月実施し、事故防止につなげている。定期健康診断の実施、要再検査者へのフォロー、月に一度の嘱託医による健康相談、健康コラムの配付、インフルエンザ予防接種費用の負担など、きめ細やかな健康管理支援を行っている。これらの取組みにより、「健康経営優良法人2024」および「健康経営優良法人2025」に認定されている。③福利厚生の充実2024年4月から70歳以上の職員が主導する影絵発表会や、60歳以上の聴覚障がいのある職員による手話サークルなど、高齢職員の知識と経験を活かしたサークル活動を展開し、さまざまな年代の職員とのコミュニケーション促進特定非営利活動法人 こぐまくらぶ2025.1126
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