エルダー2025年11月号
31/68

特集Ⅱ企業の沿革・事業内容1967年に、岡山県唯一(当時)の船舶と機械の設計を専業とする会社として設立。1969年に富山出張所を開設し、1971年に株式会社化した。外洋航行タンカー、貨物船などの大・中型船設計の実績は、国内20隻、国外17隻、合計37隻を誇っている。設計を手がけた最大の船舶は20万DWT(載貨重量トン数)のタンカーであり、大・中型船の部分設計と国内沿海・港湾内作業船等小型船の受注実績は1000隻を超えている。業務によって、①基本設計、②船殻設計(船舶全体・各ブロック別構造、鋼材、強度等)、③艤装設計(内部配管や設備、居住施設等)、④機関設計(機関室内エンジン配置・配管等)、⑤電装設計(配線等)の五つの課とコンセプト開発チームにより構成される。コンセプト開発チームは、基本設計より手前の段階であるコンセプト設計(船主の要求するコンセプトを形にする)の業務に注力するために新設されたチームである。会社の経営方針としては、「50年習得した技術でお客様の要求にお応えします」、「近年の規則変更にタイムリーに対応していきます」、「財産で有る人を大事に育成し更なる発展を目指します」、「更なる技術力の向上と公正で信頼される会社を目指します」の四つを掲げており、この方針の具現化を目ざし、社員全員で技術の向上に取り組んでいる。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方社員数32人のうち、60歳以上の社員は6人(19%)となっている。最高年齢者は71歳で船舶設計を担当している。社員構成は50代が約3割を占め、ボリュームゾーンで事業の中核をになってきた。しかし、社屋が岡山県の中心部から車で約1時間かかるという立地条件が採用難につながり、慢性的な人材不足に苦慮していた。一方、船舶設計という専門技術の継承は、同社にとっての喫緊の課題であることから、ベテラン社員が長く働ける職場環境の整備に着手した。今年度中に70歳を超える2人目の社員が、継続雇用となる見込みである。また、5人の元社員との間で業務委託契約を結んでいるが、70歳を迎えた時点で、さらに雇用継続するか、業務委託の形で仕事を続けるか、本人の希望により選択できることになっている。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年後の継続雇用制度2023(令和5)年に、従来の「希望者全員65歳まで継続雇用」から「希望者全員70歳まで継続雇用」に制度をあらためた。その後については、70歳の時点でさらに雇用継続するか、業務委託で仕事を続けるか、本人の希望により選択できる。高齢社員からは、「元気なうちはいつまでも働くことができるため、自身の健康維持や経済的安定、会社や周りに頼りにされているという実感が、自信ややりがいにつながった」と好評である。若手・中堅社員からも「長く働くことができるので、安心感が高まった」との声があった。②賃金制度・人事評価制度の見直し生産性の向上を図るため、高齢社員のモチベーションを上げたいと考えていた同社では、エルダー29令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト株式会社大鎧設計事務所本社

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る