用されたりしていた。今後は定年前の賃金を維持し、役職、資格、特別処遇手当等についても、本人の意欲や能力に応じて継続支給することとした。昇給や賞与は、会社の経営状況にもよるが、定年後も定年前の社員とほぼ同率で支給を行っている。人事評価制度については現在検討中であり、資格取得や職務内容に応じた手当を賃金体系に反映させている。③多様な勤務形態による柔軟な働き方「高年齢者勤務時間の弾力化に関する規程」を新設し、短時間勤務、短日数勤務、勤務間インターバルの確保、テレワーク、在宅勤務などの多様な働き方を選択できるようにした。高齢社員の心理的・身体的負担を軽減し、働きやすい職場環境の実現に向けて取り組んだ。また、「定年後再雇用規程」を設け、65歳を超えて雇用した社員にも適用できるようにした。各人の心身の衰えや長時間勤務による疾病リスクなどに配慮し、本人の能力に合った働き方ができるよう配慮している。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①資格取得支援介護福祉士実務者研修や実務者研修教員講習会の研修事業を行っているため、法人内で資格取得の支援が可能である。外部研修で勤務調整や休暇を取得しなくてもよいという利点もある。受講者には受講料の一部補助や資格取得についての補助金申請手続きの支援も行っている。高齢社員に対しても資格取得により資格手当を付与しているため意欲の向上につながり、専門職としての技術や意識の向上などのスキルアップに効果が期待できる。法人にとっても処遇改善加算の上位算定が可能となり、売上げ向上にも貢献している。②ICT活用によるリスキリング生産性向上のため、介護ソフトとタブレットを導入し、法人内に「ICT活用推進担当者」を配置して社員への説明、導入研修、マニュアル作成を綿密に行った。外部講師による指導機会も設けている。タブレットやパソコンに触ったこともなく最初は不安に感じていた高齢社員も、さまざまな方面からの学習機会を通じて意欲が向上し、現在では全員が上手にタブレットを使用できるようになった。状況説明のためにタブレットを使って撮影した画像を用いる方法は、現場から発生したという。このように業務改善や効率化を目標としたリスキリングにより、伝達の正確性や効率の向上につながっている。③職場内研修の実施介護事業に必要な法定研修をはじめとしたさまざまな研修を企画し、年間計画を立てて実施している。専門分野については経験豊富な高齢社員が講師を務めている。高齢社員が豊富な経験と高い専門性を発揮できる役割を持つことで、やりがいを持って働くことができ、知識や技術の伝承にも貢献している。(3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①身体の負担軽減につながる取組み転倒による労災事故が発生したため、高齢社員からヒアリングを実施した結果、腰痛や筋力低下、視力・聴力低下により健康不安を感じていることが判明した。そこで、ノーリフティングケアの導入に向けた取組みを開始した。介護ロボット導入の検討、理学療法士による福祉用具(スライディングボードなど)活用指導の受講、入浴が困難になった利用者向けにボディハグシャワーを導入した。「抱える」、「持ち上げる」といった介護者に負担がかかる動作は腰痛発症の要因となるため、このように労災事故防止に向けた「ノーリフティングケア」に取り組んでいる。②ICT導入による業務効率化介護ソフト、タブレットの導入およびWi-Fi環境の整備により、記録などの事務作業時間短縮と腰痛・疲労感の軽減を図った。音声入力機能により文字入力が苦手な高齢社員の負担も軽減できた。タブレットの使用により在宅勤務や直行直帰が可能となり、短時間勤務の実現にもつながった。③健康管理・メンタルヘルス対策高齢社員に「労働者の疲労蓄積度自己診断合同会社 和の会2025.1134
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