エルダー2025年11月号
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特集チェックリスト」を実施し、課題把握と改善策を講じた。健康経営セミナーに参加し、自社の現状を把握、具体的な目標を設定して、その達成のための対策と実行について学び、健康経営に関する取組みを強化した。また、社員の健康に対する意識調査と具体的施策の実施を行った。健康診断受診率向上のための啓発を行い、未受診社員に対するヒアリングと受診促進を実施した結果、全員が受診するようになった。④介護休暇の取得促進要介護状態の家族の介護が必要となった高齢社員に対し、シフト調整により休暇を取得しやすい体制確保を行った。また、仕事と介護の両立が図られるよう適切な助言をしている。(4)その他の取組み地域貢献活動の一環として、高齢社員も参加し毎週2回「ご近所福祉サロン」を開催している。地域住民主体でパッチワークや書道などを行う回と、ゲストを招いて音楽やヨガ、認知症の勉強会の回をそれぞれ週1回ずつ実施している。参加者はほとんどが高齢者で介護認定を受けている人や独居高齢者も多く、専門職としての知見を有する高齢社員が参加することで、関係機関への橋渡しやさまざまなアドバイスを行い、地域住民にたいへん喜ばれている。(5)高齢社員の声 ケアマネジャーの山やま下した義よし晴はるさん(76歳)は、市役所で生活保護ケースワーカーなどを37年間担当し、65歳で入社。なごみ居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員として、外部からの相談に乗っている。「多様なケースや人生にふ れることがおもしろく、自分自身の学びや今後どう生きるかを考える糧になっています。介護保険の範囲にとらわれず、利用者の要望に柔軟に対応するよう心がけ、信頼関係を大切にしています。毎朝4時半に起きてウォーキングを行い、健康維持に努めています。能力が衰えて心配をかけるようになったらボランティアなど別の形で和の会に参加したいと思います」ヘルパーの渡わた邉なべ直なお子こさん(74歳)は、専業主婦を経て介護分野のボランティアとしてかかわり始め、同社の立上げと同時に入社。和の会で働きながらヘルパー資格を取得した。「出会いが多く、さまざまな人との関係構築が仕事のモチベーションになっています。利用者の要望に応えるため、制度外のことでも可能な範囲で手伝い、家族のように見守りを行っています。仕事そのものが健康維持や社会参加の意義と感じており、1日1万歩から1万5000歩歩いています。必要とされることが生きがいで、2、3年前は75歳を目途にと考えていましたが、介護需要は高く生涯現役を目ざしたいと思います」(6)今後の課題今後、社員の高齢化がさらに進むなか、実態に合わせた定年や継続雇用の引上げ検討を行っていく。高齢化にともなう意欲や身体レベルの低下も考えられることから、さらに柔軟な働き方ができるよう規程の見直しや処遇の改善に努めていく。和の会は地域密着型サービスのにない手として、住民ニーズに応じてサービスを提供し、同時に多様な人材を活かした高齢者雇用を推進していく。また、福祉サロンを拠点に高齢社員が中心となってボランティア育成や介護相談会を実施し、地域の高齢者の交流促進を通じて孤独感解消や介護予防を図り、地域福祉の向上に貢献していく。エルダー35令和7年度 高年齢者活躍企業コンテストヘルパーの渡邉直子さん(74歳)ケアマネジャーの山下義晴さん(76歳)

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